大沢在昌・京極夏彦・宮部みゆき公式ホームページ『大極宮』
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- 第438号 -
2010/3/12
燃えよ山椒大夫 〜 大沢在昌のコーナー
吉川英治文学新人賞
一週間前になりますが…「第31回 吉川英治文学新人賞」の選考会がおこなわれました。
今年はひじょうに優れた作品が揃っていて選考会はあれこれ難航しましたが、池井戸潤氏の『鉄の骨』と冲方丁氏の『天地明察』が受賞作に決定しました。
当日は池井戸さんに会ってお祝いを言ったところ、本人も喜んでおられました。
彼はゴルフが好きでこのところメキメキと腕をあげていて、出版社のコンペでも連続優勝するほど。
まあ、良い事ばかりは続かないということで…賞をもらった分、少しゴルフをヘタになってもらいたいなぁと思ったりもして。
今週は急に寒が戻ってきて嫌な天気が続きました。寒かったり暑かったりと本当に身体がおかしくなりそうな日々ですが、皆さまもお気をつけてお過ごしください。
花粉症の方は、例年に比べると若干落ちついている模様であります。…今のところはね。
厨子王の逆襲 〜 京極夏彦のコーナー
◎今週の河童・今週のカッパ◎
河童のことならこの人、という河童研究/蒐集の第一人者、和田寛さんの新刊が岩田書院から発売されました。
全国津々浦々を回られ、丹念に調査を重ねられて編まれた50冊を超える労作『県別河童小事典』(手作りの冊子でした)を手にした時の何ともいえない充実感は今もよく覚えております。
その『県別河童小事典』(全部合わせるとぜんぜん小じゃないですが)から、伝承の部分を抜き出して増補したものが大著『河童伝承大事典』(やはり岩田書院)でありました。
しかし、河童は民間伝承や信仰のみで「できている」わけではありません。たぶん、河童を愛してやまない和田さん(推測)は、「伝承」という括りからこぼれ落ちてしまうもろもろも捨てては置けなかったのではないかと。
そこで本書『河童の文化誌 明治・大正・昭和編』が刊行されたのではなかろうかと考える次第であります。妖怪者としてはうれしい限り。
今回は、明治から昭和までに発表された河童周りの小説、漫画、絵本などの創作物から研究書、資料までを幅広く蒐集した労作であります。河童研究者・愛好者必携といえましょう。
江戸の文献などは研究対象として俎上に載ることも多いわけですが、それ以降のもの、特に創作は資料としては意外に見過ごされがち。たとえ創作であったとしても、その時代の「河童観」を知る重要な手掛かりになることは間違いありません。
現在「カッパカッパ」いわれているモノはいったいどんなものなのか、どうやってそのイメージは形成されてきたのか、河童観の変遷と成立を知るための重要な手掛かりとなる一冊であります。
と、ほくほくしておりますと、当のカッパから宅急便が届きました(マジ)。
差出人はカッパ。しかも中身はキュウリ。そして変な袋。
なんじゃいこりゃあと開けてみたれば。
尻子玉が入ってました。
わっはっは。前に抜いたのをお返ししますよと書いてありました。
そういえば一昨年、京都で行われた世界妖怪会議ファイナルのイベント、「生怪ラヂヲ」の時、ゲストのカッパが「抜いておいたからね」とか言っていた!!! わはははは。
一年半も持っているなよカッパ。
この尻子玉のクローンを売ってもいいですか、とも書いてありました。最近はカッパも尻子玉を売って商売しているのだなあ。昔は喰っていたものだが。
◎今週のゲゲゲ・今週の新刊◎
今週八十八歳を迎えられた水木しげる大先生でございますが、NHKハイビジョン特集『鬼太郎 幸せ探しの旅に出る〜100年後の「遠野物語」〜』が、3月13日土曜日の午後8時30からBShiで放映されます。その前に「ゲゲゲの女房」のお報せ番組もある模様。どうやら鬼太郎ねずみ男目玉おやじもゲスト出演する様子。ぜひご覧ください。
『水木しげるの遠野物語』(小学館)をお読みになってからご覧になるのも良いかもです。
で、画業六十周年企画はまだまだ続きます。集英社から『ビビビの貧乏時代 いつもお腹をすかせてた!』が発売になります。
水木漫画の中から「ビンボー」な話(主に自伝)を抜き出したアンソロジーです。いや、なかなかビンボーですばらしい。
新刊といえば、御意見番荒俣宏中先生の『アラマタ美術誌』(新書館)も発売になりました。発売記念講演会なども開かれるようですので、要注目。
それから森博嗣さんのエッセィ+対談集『TRUCK&TROLL』(TOKYO FM出版)も発売になりました。森さんのお相手はよしもとばななさん、浦沢直樹さん、そして僕。僕が一番くだらないことを語っているような気がしますが、それは収録場所が「バッカみたい」のスタジオだったからだと思いたい。
でもって、『ヴィジュアル版謎シリーズ・日本の妖怪の謎と不思議』(学研)の増補改訂版も出版されました。「謎も不思議もありません」的な身も蓋もないことを言っている僕の冒頭ロングインタビューもそのまま掲載されております。どの辺が増補されたのかこれからチェックしてみます。
◎今週の札◎
古典遊戯研究会の定例会があったのですが、例によって間に合わず。終わってから顔を出したのでただの宴会要員になってしまった件は秘密です。
うんすんカルタに引き続き、廃れてしまった古典札遊びの復興を計画中。
◎今週のお化け大学校◎
年間スケジュールにそってのシステム改善と具体的なもろもろについてのヒミツ会議がありました。
荒俣御意見番より、「今年はキョーゴクさんで」と指名されましたので、いろいろと考えなくてはなりません。まずは化け大生のみなさんがより「化けて」いただくための下地づくりをしなければと、郡司理事長 や購買部部長や村上健司講師や工作員や関係各位との打ち合せ。
理想はあれど、障害もなかなか大きいものがありまして、そうそう上手くはいかないものです。みなさんのご意見をなるたけ反映できるよう、スタッフともどもコツコツやってまいりますのでよろしくお願いいたします。
そんなわけで、化け大のサイトに化け大関連ツイッターが反映されるようになった模様。多田克己講師のイベント情報も載ってます。
◎今週の展示◎
根津にありますGallery花影抄で、3月6日から「荒井良・張り子の仕事」展が開催されております。
うちの「帷子辻」さんと「旧鼠」さんなんかもいる様子。14日の日曜日までですので、ぜひ。
そんなこんなでまた来週。
編集者Sのウラ情報
慣れれば……
みなさん、「ほぼ日」に連載されている『絆回廊 新宿鮫X』、読んでますか。ネット上というか、ディスプレイ上で小説を読むのは初めてというかたも多いでしょう。どうですか、読みやすい? 読みにくい? こうやってディスプレイ端末での読書に慣れていって、それでもやっぱり紙の書籍のほうがいいとなるのか、電子で充分となるのか。どうなりますやら。
「大極宮」の立ち読みでも、ここ数年の新刊はどーんと50ページほど、厨子王の短編集となると一作品まるまる読めるようにしています。
「ほぼ日」や電子書籍サイトのように、リアル書籍のようにページめくりができるみたいな本格的なシステムを組むノウハウも予算もありませんので、単純にPDFでの公開です。違和感がないよう、元となる書籍と同じ版面になるように作成していますが、“なんちゃって”です。
本格的な電子書籍が簡単に作れるシステムはできませんかね。
まるひの秘書ヒショバナシ報
今週の厨子王原稿メール件名
大と泪と極と宮(分解してみました)
分解戦法! なんと新鮮な!
確定申告終了
テンパっていたのも、今は良き思い出。確定申告が無事に終了しました。ひとまずホっとしています。
確定申告の醍醐味といえば、税理士の先生とのやりとりに尽きます。
たとえばこんな感じ。
「これは経費に通りません」
「そこをなんとかー」
「ちょっと無理ですねえ」
「やっぱり(笑)」
と、ダメもとで突っ込んだ領収証をはじかれたりですね。まあいろいろとドラマがあるわけです。
今年はドラマのほとんどない、順調な確定申告でした。毎年こうだとよいです。
ノリノリ編集後記
パチンコ&パチスロ
ぜんぜんやらないんですけど。
このところテレビCMや紙媒体の広告で、気になるタイトルがやたらと目につくんです。
『あしたのジョー』、『ルパン三世』、『花の慶次』…などなど。
詳しくは知りませんが、最近の台はリーチ後の映像とかスゴいらしいですね。その映像の部分だけでも観てみたいものです。パチンコ屋に行って、知らない人が打っているのを後ろから眺めるのは、ちょっと気が引けますし…。
というわけで、書店で見つけたこんなのを買ってみました。
『牙狼』です。2冊まとめ買い。
付属のDVDは、合わせて300分も映像がありました。スゴいです。
あっ…ちなみに『牙狼』はこの秋、映画になります。
先日、赤坂の某スタジオで編集に立ち会っておられた雨宮慶太監督にお会いしてきました。3D映画はやっぱり大変なようです。
映画に関する詳しい情報はこちらをご覧くださいませ。
http://www.garo-3dmovie.jp/#
でっ、パチンコに話を戻しますと…
「大極宮」関係では以前、大沢さんの『黄龍の耳』がパチンコ台になったことがあります。
週刊「ヤングジャンプ」で連載していた井上紀良先生の画です。
残念ながらデジタルではなかったため液晶画面はありませんでしたが、カッコイイ綺麗な台でした。
ってゆうか…今もオフィスで借りているトランクルームに保存されています。
このパチンコ台、やたらとデカくて重いんですね。付属のトランスはごついし、サンプルで付いていたパチンコ玉だってハンパじゃなく重いです。ダンベルみたいなものですよ。
大極宮の作品がまたパチンコ台になれば面白そうですが、事務所的には見本台はご遠慮します…ってかんじです。
(「あしたのジョー」実写映画化! エキストラで出たいぞ…ノリ)
アンケートから
感動の「へえええええ」
久しぶりに、魍魎の匣(アニメ)を見直しています。
7話のオープニングで、女の子が絵本を見ているんですが、その絵本がなんと、『安寿姫と厨子王』だったんです!
ちょっと感動して、途中なのに、書きに来ちゃいました!
・このアンケートを読んで、思わず「へえええええ」という声がもれてしまいました。他のスタッフも同じでした。感動をありがとうございますー。(まるひ)
今週の間違いコーナー
◆いつも楽しく拝見しております。
三名とも大好きな作家さんなので、本当に楽しいです。
更新、ありがとうございます。
間違い探しですが、作家 京極夏彦 のページの最新ニュースの[最新刊『冥談』3/5発売!]をクリックして飛んでいける、下部の『冥談』の紹介文において、本のタイトルが『数えずの井戸』となっております。
お忙しいと思いますが、皆様、お体に気を付けてくださいませ。
・ごていねいなご指摘、ありがとうございます。コピペの直し忘れです。ああ恥ずかしい。こっそり修正しましたとも!(まるひ)
◆「ハードボイルド」=バイオレンス? の勘違いで大夫の「新宿鮫」シリーズを読まずにいた私・・・
「ほぼにち」でXのさわりを読んですっかりすっかりはまりました。大人買いするぞ!の堅い決意のもと、予算を調べようと太夫の著作リストを見たら、「毒猿」の紹介の部分
「間凶器」・・・「人間凶器」???
「間凶器」って言葉があったら、ごめんなさい。
でも、何かしっくりこなくって。
大夫の作品初心者故の発見??
(皆「鮫」シリーズは紹介を読むまでも無く知ってるんだろうから、読まないんだろうな)
・はい、「人間凶器」が正しいです。こっそり直しました。ありがとうございます。大人買い、よろしくお願いいたしますねー♪(まるひ)
謎(?)のエラー
◆エラー見つけちゃいました!
大極宮フェア2010のページから
「あなたが選ぶ名セリフ大全」
「特別企画」
「Reading Company」
へのLinkが死んでます。
あと、HPの更新状況やなんやらをtwitterでつぶやいてくれるとうれしかったりしまぁ〜す♪
・ええ! どうしてどうして? って、謎でも何でもありませんでした。フェアのページをサーバー上に置く場所がそもそも間違っていた……ということが判明。冷や汗もの間違いですね。これはちょっと直せないので、近々、証拠隠滅をはかります!(をい)
twitterですが、スタッフの誰ひとりtwitterのことがよくわかっていないせいで、難しいかと思います。すみません。ぺこ。(まるひ)