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 第206号へ 第207号 2005.6.10 第208号へ 
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▼山椒大夫 ▼安寿 ▼厨子王

▼編集者S ▼まるひ ▼ノリノリ ▼アンケートから

■HEADLINE RUMORS 〜 風のウワサ

◆今週(6/6〜)は月曜日から、朝の5時までカラオケを歌いたおしていた大沢と宮部…

 
■燃えよ山椒大夫 〜 大沢在昌のコーナー

◆第6回サントリーウイスキー&ミステリー
 恒例「ウイスキー&ミステリー」ブレンドイベントのため、サントリー京都山崎蒸留所に行ってきた。参加メンバーは北方氏、逢坂氏、オイラの3馬鹿トリオに桐野夏生氏、東野圭吾氏、福井晴敏氏の6名。

 今回は正確にはブレンドではなく"ヴァッティング"と呼ばれるもの。ブレンドとはモルトウイスキー(麦芽を発酵させて単式蒸溜器で2回蒸溜しオーク樽で熟成)とグレーンウイスキー(とうもろこし、ライ麦、小麦などの穀類を主原料に大麦麦芽を加えて糖化、発酵)を混ぜ合わせてひとつの味を創る作業のことだが、それに対しヴァッティングとはすべてモルトウイスキーだけを混ぜ合わせる作業のこと。
 モルトウイスキーのモルトについてさらに説明すると、単一蒸溜所(今回でいうと山崎蒸留所)のみで作ったものをシングルモルトウイスキー、複数の蒸溜所(例えば山崎蒸留所と白州蒸留所)のモルトどうしを混ぜ合わせたものをヴァッテドモルトウイスキー、一つの樽から作られたモルトウイスキーのみでボトリングされたものをカスク・ストレングス。で、これらモルトウイスキー原酒100%のウイスキーを一般的にピュアモルトウイスキーと呼んでいる。ここで勉強したんだけどね。

 さてコンテスト。
 今回は山崎蒸留所のみで作られたモルトウイスキー10種類が用意され(この中にはいまだ商品化されたことのないモルトウイスキーも交じっていた)、これらを混ぜ合わせて各自シングルモルトウイスキーを創ったわけだが…結果、第6代チーフブレンダーオブ日本推理作家協会は福井氏に決定! 映画3連発に加えてチーフブレンダーにも選ばれた福井氏は、「できすぎで怖い」と言っていた。我々3馬鹿トリオ、とくに毎回参加してもチーフブレンダーになれない逢坂、北方両氏の"ハルウララコンビ"からは手荒い祝福を受けていた。

 自分のヴァッティングの感想としては…
 用意されたモルトウイスキーは、アルコール度数が59度とか高いものもあったが全体に甘い感じが多かったので、味のバランスをとるのが難しかった。スッキリしたあと口にしようとすると、個性的な味の二つを混ぜ合わせてケンカしてしまうものが出来やすいので。
 ただ、バランスをとろうとしすぎたのかもしれない。他の人が4〜5種だったのに比べ9種を使い、バランスがとれた味には仕上げたが一方で個性が乏しくなっていた。最大公約ウケするものよりもガツンとくる個性、トータルバランスよりも強い個性で確実に届くものを作るのが今の時代なのか。たとえ6人で争うイベントではあっても、時代の象徴的なものを感じた。

 福井氏の選ばれた作品はまさにこのようなタイプで、かなり強烈な個性二つがぶつかった味。樽の中で後熟という過程を経てどういうふうに変わっていくか、お披露目となる秋のトークイベントが楽しみである。

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■安寿のがまぐち 〜 宮部みゆきのコーナー

◆『ルパンの消息』
 カッパノベルス、横山秀夫さんの「幻の処女作」であります。
 横山さんの作品ですから、そりゃ面白いのはトーゼン! 宮部、1日読み耽って過ごしてしまいました。あいだに食事と散歩と体操をしましたが、先が気になって落ち着かないのなんの。
 さらに、面白いという以上の、ある感慨にも打たれてしまいましたです。
 ああ、これこそが処女作、デビュー作というものなんだよなぁ〜♪
 とにかく、芯になる謎解き(+時効までのタイムリミット・サスペンス)以外にも、細かいところまで、ホントいろいろな要素がいっぱい詰められているんですよ。
 この熱気! 新しい書き手が世に出るときの、「こういう謎を書きたい、こういう人間の心模様も書きたい、こういう場面も書きたい」という、燃え上がるハートが感じられるんですよ。この作品を目に留めてくれるであろう人に、今自分が思っていることすべてを書いて、見てもらいたいんだ! という情熱が伝わってくるんですよ。
 読んでいて嬉しくなってきちゃって、コーフンコーフン!
 あの、上野へ聞き込みに行ってホームレスの元刑事さんと会うシーンがいいなぁ。ラストの、「タクシーを乗り捨ててしまった潔さ」ということも、ああこれこそ横山ワールドだよなぁ〜♪
 横山さんの作品は、ドラマ化されたものも好きなのですが(特に上川隆也さんが出てるシリーズね。あと『ペルソナ』も『第三の時効』も良かった! 余貴美子さん好きなんですよ)、これも映画かドラマにならないかなぁ。勝手にキャスティング想定しちゃって、そちらでもひとしきり楽しみました。主人公(というか、大事な登場人物は何人もいるわけですが、あの彼ですよ、彼)ね、宮部、オダギリジョーはどうかしらと思ったんですけどね。

◆ゲーム女の生きる道
「ベルウィックサーガ」を買ったわけですが。
「FE蒼炎の軌跡」で受けたダメージから回復できず、まだ手付かず。とにかくあのラスボスは許せん(私憤)。
 で、今週はちょっと余談と申しますか、次世代ゲーム機のことなど考えてみました。
 正確に言うと「次・次世代ゲーム機」なんでしょうけれども。
 テレビのニュースでも大きく取り上げられてたので、おかげで、プレゼンで公開された新ゲーム機の映像など観ることができたわけですが、確かに凄いですよね〜。
 う〜ん。でもゲーム女、ちょっと複雑な心境です。
 これ以上凄くならなくたって、今でも充分なのにって思っちゃう。
 何より、ハードの性能がアップすることで、またソフトの開発費が上がるのが心配です。一説によると、PS2のソフト開発費が(平均)2、3億円のところ、「3」になると15億円ぐらいになるということで。
 まあ、どの次世代ゲーム機も下位互換があるそうですから、軒並み15億円クラスのソフトばっかりが並ぶということにはならないでしょうけれど、資本力の弱いところはどんどん苦しくなるんじゃないかなぁ。それって、次世代のクリエイターが育ちにくくなるってことにつながりませんでしょうか。どんなエポックメイキングな仕事をする可能性を秘めたクリエイターさんだって、最初はみんな野にいるわけで、その人たち全員が大手に就職できるわけじゃないものね。
 パソコンさえワープロとしてしか使っていないわたくしには、データの容量とか描画のスピードとかいう事柄が実感として理解できないのですが、2Dの停め絵のRPGでも、好いゲームは好いもんね。
「アトリエ」シリーズとか「サモンナイト」とか。
「FE」シリーズも、わたくし別に3Dにならんでもよかったです。あのアニメーションはまことに美しいけれど、どうしてもそれが欲しい! とは思わないんですよ。
 これは年齢の問題なのかなぁ。最近、そればっかり気にしてますが、ホントひしひしと感じるもんですから。
 あと、とっても日常的なことで申しますとね。また置き場所に困るわけよ。そういうゲームファンは多いですよね? 今までのゲーム機に、外付けで何かプラスすることで次世代機へと機能がアップ! とか、そういう方法はとれないのかなぁ。
 ずっと仲良くしてきたゲーム機、捨てたり売ったりしたくないもの……。

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■厨子王の逆襲 〜京極夏彦のコーナー

◆はなし
「京極噺」という公演が行われています。イベント告知のとこにも書いてますが。
 昨日(6/9)が初日で、取材などもあったので顔を出しました。
 演目は

 講談「巷説百物語」神田山陽師匠、
 狂言「新・死神」茂山千五郎家のみなさん、
 落語「死神(死神remixより)」春風亭小朝師匠。

 豪華でしょ。
 講談×狂言×落語のコラボレーションってのは新しいわけです。
 しかもネタが同じという。死神だらけ。観るまでは同じだからなー大丈夫かなーと思ってましたが、比較するまでもなく全然別物に仕上がっておりました。

 新・死神は今回が初演。小朝師匠の死神もバージョンが変わってます。

 山陽さんの「巷説」は、どんなになるのかボクも知りませんでした。で、びつくりします。
 なんたって昨日が初対面で(笑)。ご本人いわく「野放し状態」だそうで。
 でも、ちゃんと「巷説」でした。スゴイです。
 しかも「そうだったのか!!」と、作者の知らない事実も。

 狂言のほうは「豆腐小僧」以来の新作。なんといっても初日は見る方も緊張しますね。
 でも、まるで大丈夫でした。もうすっかり茂山家流になってます。ツボもツカミも間もギャグも、絶妙。
 謎の職人がふたたび挑んだ妙ちきりんな帽子もイイ感じで。

 で、小朝さんの死神も、前回から更にパワーアップして帰って来たという感じで。
 すでに古典の方で演じられる小朝版死神ともキャラが変わっております、死神さん。イタリア人だし。

 というわけで、昨日のボクはただの客(笑)。
 まだ公演は始まったばかりですので、興味がおありの方はぜひ。



京極夏彦様 という専用楽屋があった

久々の元気な姿



楽しい方です山陽さん

初対面の山陽さんと



今回もらぶり〜な役でした

茂山千之丞さんと



予定時間をオーバーして熱弁

「ぴあ」の取材もありました





終演後の打ち上げパーティで挨拶



話の尽きないふたり

打ち上げ会場の片隅で小朝師匠と話し込む




◆うぃずゆー
 はははは。「怪談之怪with幽」。
 うぃずゆーって何だ、と思わず笑いが。幽編集長の東・ディスクアニマル一家に一セット推奨・雅夫さんが、「小生の発案ではありません」とブログで書いておられましたが、ボクだって知らんこってす。
 新ミミの二人は第十夜で七転八倒してましたから、きっと編集部のドラキュラの花嫁(C)ハマーフィルムDVD未発売の仕業に違いない。
 と、そんなこたあどうでもいいんですが、今年は大阪で開催だそうで。
 有栖川有栖先生がゲスト出演されるという、豪華版。
 ボクはこちらも客のつもりで参加します(笑)。
 ああ、客がいい。

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■編集者Sのウラ情報

 出版社の人事異動は意外に6、7月が多く今月も何人かの編集者が移動されました。ただ大手のように単行本、文庫、ノベルス、雑誌など形態別に編集部が細分化されているところだと、編集部内をグルグルと回ることも多く結局はそのまま担当ですということも。雑誌から文庫とかね。編集者はキャリアもさることながら、作家との人間関係が重視されますのでガッチリと築きあげた人間関係をそう簡単には崩せないということが人事面でも考慮されるのでしょう。 それだけにオフィスの人間(ようは作家の側)としてみれば、今回人事異動がありましてなどと改まっていわれても、なんにもかわってないじゃん、という気もするのです。(吉川賞のとき紹介された講談社の新入社員諸君はどこへ配属されたのでしょうか、S)

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■まるひの秘書ヒショバナシ

◆今週の厨子王原稿メール件名 (これまでの歴史は→コチラ
 ゴジラの逆襲
 実は前号から始まっていたんですね件名新シリーズ! 厨子王本人いわく「どこまで続けられるかわかりませんけどね〜」だそうですが、その口ぶりからはホノカな自信がうかがえました。どんなマニアックな「逆襲」が出てくるか、これから楽しみです♪

 というわけで、厨子王にくっついて私も「京極噺」に行ってきました。まずは、厨子王の元気な姿に心から安心。写真も掲載できて嬉しいです。
 髪が伸びて久々に後ろで結わいたチョンマゲになってますが、「もーねー、髪切りに行くヒマがないんっすよー」ってこぼしてました。治ったら治ったでタイヘンそうです。むー。
 公演の方は、厨子王も書いているとおり。っていうか、隣の席でずっとゲラゲラ笑ってましたよ厨子王。いやー、楽しかった面白かった。講談と狂言と落語がいっぺんに観られるなんて、シアワセすぎです。
 今回は東京・横浜のみですが、地方公演もあるかもしれないので、「遠くて観に行けないいいい!」ってクヤシイ思いをしている方は、実現を祈りましょう。

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■ノリノリ編集後記

 来年のW杯出場が決まりましたね。でもかんじんの北朝鮮戦、個人的にまったく盛り上がりませんでした。こんなに冷めて代表の試合を観たのは初めてかもしれません。てゆうか…今の日本代表、とくに監督としてのジーコに魅力を感じていないのでしょうがないかなぁ。大人になってクールな態度の選手たちにも共感できないし。とにかくこの予選を通してまったく気分が昂ぶらなかったのは確か。自分でも高校までやっていて今でもサッカーは好きだけど、代表に対してこんな気持ちになっているのは寂しいかぎり。監督の交代はなさそうなので、あと一年でこのチームを好きになるしかない。少しは変わってほしいなぁ。とりあえず8月のイラン戦、カズとゴンのツートップなら間違いなく興奮すると思うけど。あれっ!? こんな夢を見るなんて…単に歳のせいなのかな。
(エプソムカップに愛馬2頭出走…ノリ)

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■アンケートから はスタッフのコメントです)

◆気になった点がありましたのでお知らせします。
京極先生のページの「最新ニュース」の上から3行、

■「世界妖怪会議」と「怪談之怪」に今年も出演!
稲生モノノケ大全 陽の巻』に書き下ろし妖怪小説収録。
■『稲生モノノケ大全 陽の巻』に書き下ろし妖怪小説収録。

となっていますが、2行目は不要ではないでしょうか?

ハイ、不要です。というか消し忘れですです。毎度のことながらお恥ずかしい限りでございます。ううううう。(まるひ)

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下の方でコッソリ
【厨子王原稿メール件名の歴史】

◆新章突入! 本当にあった"逆襲"シリーズ(仮)
大魔神逆襲


◆旧シリーズ 「更新原稿」をいろいろ変えて遊んでみよう〜♪

更新太郎。 → こうしん太郎。 → 高信太郎。 → 香辛料。 → 甲府信玄公。(この133号あたりで件名を本格的なコーナーにされてしまうカワイソウな厨子王) → 子牛ん〜健康です。 → 庚申。元寇。 → 孔子に兼行。 → 乞う、青梗菜。 → 交趾(コーチン)。鬱金(ウコン)。「辛いなあ喰いもんネタ(笑)」というグチつき → 護身拳骨。 → 誤診現行犯。 → 小普請剣豪。 → 子負う繁子。 → こう、おしん激昂。 → 往診変更。 → 孝心言行。 → 恒心儼乎。 → 格子に拳固が。 → 誤診原告。 → (グレイと)交信。(UFOが)減光。説明付き。たまにはこうい(151号でこの件名の続きを皆さんから募集して大盛り上がり!) → 香辛料減量。 → 甲信越へ行こう。 → 荒神信仰。 → 降神、玄黄。 → コーリンえんぴつ。 → 降雨。震源。こ……うッ。 → 「コウ!」「シン? 元気?」「おう」 → 光線銃携行。 → 孝心儼乎。(孝心も儼乎も二度目の登場と、まるひにツッコマレル) →  前回のタイトルは急いでいたので一発変換だったわけです(笑)(言い訳キター!) → 工賃、下向。 → 浩二、けん、コウ(芸能人シリーズスタート?) → 工事・拳・豪 → 放心、テンコー → ちょうちんあんこう → 甲信越先行 → 古神に献香 → 降雨シーン、現場はこう…… → 懇親励行 → 殺しで連行 → 抗菌テント → GO! 真剣、GO!!(横文字初登場) → こう、芯がゲル状。 → こ、悪心、下戸。う。 → 麹、発酵。 → ここ押し。ん? 弦を、こう…… → 古址近郊 → 光子力ビーム!! → 等身大線香 → 拘禁連行 → 狂信勤行 → 高知、雲仙、甲府 → もう死んでんだろう? → 乞う。真剣若人 → 発疹侵攻 → 病身不健康 → ここ、よし、ビンゴ!

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