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 第194号へ 第195号 2005.3.11 第196号へ 
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▼山椒大夫 ▼安寿 ▼厨子王

▼編集者S ▼まるひ ▼ノリノリ ▼アンケートから

■HEADLINE RUMORS 〜 風のウワサ

◆「怪」最新号(vol.0018)に掲載されている「大西郡」の中に 出てくる癒し系キャラクター「人面疽 オオサワく ん」が、オフィスでブレイク。必見。

 
■燃えよ山椒大夫 〜 大沢在昌のコーナー

◆大藪春彦賞
 授賞式で、今回受賞した雫井氏に会った。同じ愛知県出身の雫井氏は穏やかで物静かな人という印象を受けた。おいらの周りにいる愛知県出身者はB社のYとかS社のFとかにぎやかなのが多いのでめずらしい。
 大藪春彦賞は、第1回から今回の7回目まで選考委員を務めてきたが、良い作品を選べてきてるんじゃないかと思う。吉川英治文学新人賞の26回に比べるとまだ歴史は浅いけど、歴史というのは一年一年積み重なっていくものだから、まだ7年だけどもう7年みたいなところもある。そういう意味では大藪賞の空気というのがなんとなく出てきたようだ。今は亡き徳間康快社長から大藪さんの功績を顕彰する意味で大藪春彦賞をやってほしいといわれてスタートしたのだが…存在感のある賞になってきたのではないか。

◆吉川英治文学新人賞
 今年から安寿と共に吉川英治文学新人賞の選考に参加することになった。おいらは今から14年前、安寿は翌年の13年前にそれぞれ受賞した文学賞で、推理作家協会賞を別にすれば、自分がかつて受賞した賞の選考委員をするのは初めてということになる。そういう意味では感慨深い。

 選考会は新橋の料亭で行われるのだが、その料亭に入ってすぐの待合室を兼ねたバーで他の選考委員が集まるのを待っているあいだ、14年前にここで記者会見をしたのを思い出したりした。そういえば、候補になった段階で当時はまだ某社の担当編集者だった現在我社のSに、これだけの顔ぶれに混じって候補になっただけでもたいしたものですよと言われたなあ…。

 吉川英治文学新人賞は自分がもらったから言うわけではないけども、エンターテインメントを書いている若い作家にとっては大きなジャンピングボードとなる賞だ。その選考委員をするのは緊張するし、責任を感じる。もちろん他の賞も新人賞であれ既成の作家を対象とした賞であれ、人生に大きな影響を及ぼすことは自分自身が振り返っても重々感じていることだから責任の重さは変わらない。しかし、そのなかでも吉川新人賞は大きな賞だという思いが自分の中にあるのだ。

 受賞作は恩田陸さんの『夜のピクニック』と瀬尾まいこさんの『幸福な食卓』の2作に決定。どちらも青春小説のジャンルに入るものだけど、共通して言えるのは読んだあと人に薦めたくなる本だということ。例えば若い人、自分の子供なんかも含めて読ませたいなという気持ちになる作品だ。大藪春彦賞を獲った雫井脩介氏の『犯人に告ぐ』は惜しくも次点でとどかなかった。

 発表後、瀬尾さんは関西在住なのでお会いできなかったけども、恩田さんとは記者会見後にお会いできた。恩田さんにとってはいろいろな文学賞の候補になること10回目での初タイトルだったそうで、とにかく喜んでおられた。

 今回の受賞作は、一言でいうと才能と筆力。瀬尾さんは若いのに読んだ人の心を温めるような独特の才能を持っている。これは得難いものだ。前から彼女の作品が本や雑誌などで薦められているのは知っていて、今回初めて読んだわけだが、なるほどこういうことかと納得させてくれる。恩田さんはキャリアもあるし長年つちかってきた実力があって物語をぐいぐい読ませる。これはやっぱり、本物の玄人の筆力を感じさせるものだ。それぞれに読み応えがある6本の候補作で、たまたま青春小説風の2作が受賞してしまったのは、この2本が抜けて良かったため。

 ミステリーの賞と違ってこの賞はジャンルが広く、選考するにあたっては、安寿も言っていたが読み違いや読み落としがあってはいかんという気持ちになった。普段以上にその作品が何を表したいのか、作者が何を書きたいのかということを考えた。ミステリーであれば普通に読んでいてもだいたいにおいてつかめるが、違うジャンルのものだと同じ姿勢では間違えるかもしれない。それをしちゃいかんと、作品に正対する覚悟で選考に臨んだ。
 吉川英治文学新人賞の歴史のなかで、今回またあらたに二人、大きくジャンプする作家を選べたと思う。

 前にも書いたが、選考委員は偉そうだとか権力があるというイメージでとらえられがちだけど、決してそういうものではない。賞を獲ったヤツは実力だと思うし、落ちたヤツは選考委員に落とされたと思うわけで…恨みをかうことはあっても、威張れるようなことはない。ではなぜ選考委員をやるかといえば、自分が貰ったことで成長できた賞に対する恩返し。自分が育った場所にこんどは恩返しをする立場となって帰る。選考委員になって帰るのは、ある種故郷に錦を飾るようなところもある。良かったなという気持ち。たぶんどの選考委員の胸の中にもあるのじゃないかな。
 なので、俺がこの作家を偉くしてやるんだとか、大きくさせてやるんだとかという傲慢な気持ちは生じない。選考は真剣だ。辛らつな意見も出るけど、それは作者にどうこうというよりも、賞に対して恥じない受賞者を出さなくてはいけない、そういう責任感からだ。
 きれい事のように聞こえるかもしれないけども、賞の選考はそういうもの。晴れがましい気分になっている自分は確かにいるが、それは恩返しできることになってよかったというもので、選考委員という立場で一段上にいるというものとは違う。すでに世に出ている作品から選ぶ賞は多くの人が読んでいるわけで、それに対する評価と世の中の評価が食い違ったときには自分の小説に対する感性が試される。自分の書いたものをけなされるのとはぜんぜん違う。そんな見方しかできないのかとか、そんな理解しかできないのかと言われるのじゃないかという不安。選考するという行為は、候補作と勝負をしているというよりも、候補作を読んだすべての読者と勝負をしているようなものだ。そこからくる緊張感。小説の出来栄えは数値化できないので、選ぶのは作家としての感性が作用する。その感性が間違っていないということを願うばかりだ。

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■安寿のがまぐち 〜 宮部みゆきのコーナー

◆決定! 第26回吉川英治文学新人賞
 恩田陸さんの『夜のピクニック』
 瀬尾まいこさんの『幸福な食卓』
 2作受賞となりました。おめでとうございます!
 今年から大夫と一緒にわたくしも選考委員を拝命、盛り上がった選考会でございました。

◆ゲーム女の生きる道
 昔、アメリカの映画やテレビドラマを観ていると、新聞記者が左右の人差し指でバンバンとタイプを打ち鳴らして記事を書くシーンが出てきたものです。
 カッコよくてねぇ。憧れました。
 そこからの命名なのでしょうね、「シカゴタイプライター」。
 エイダさんのおかげで買えました。いやぁ無敵に強力ですが、にぎやかな武器だ!
 事件記者コルチャックが10人ぐらい、いっぺんに原稿書いてるみたい。ボリューム下げないと近所迷惑になります。
 これと「無限ロケラン」があれば、わたくしでも短時間クリアは夢じゃない。5時間と見ているのですが、甘いですかね。4時間ってのはちょっとハードルが高すぎない? とにかくやってみますです。
 あと、ノーコンティニュー・クリアも試みているのですが、クラウザーとのナイフでタイマン勝負が難関なんだよなぁ。わたくし、ボタン入力が遅いらしいんですよ。鈍いのね。
 それに、これは妄想かもしれないのですが、1度も倒れず快調に進んでいくと、入力受付時間がさらにシビアになる感じがしません? 考えすぎかなぁ。
 あ、念のため申しますが、まだ「バイオ4」をやってるわけです。
 で、メラメラに強くなってもやっぱりエイダには弱い、女難のケネディ君を操っていると、ふと「レジーナはどうしてるかな?」なんて思ってしまうのでした。彼女と今作のエイダ、ケロッとしたプロフェッショナルで何考えてるかわかんないところが似ています。
 GCのこの画像とこのシステムで、レジーナも走らせてみたいです。「ディノクライシス」の方は、移植やリメイク(もちろん新作でも!)の話はないのかな。ないか。
 そういえば美脚愛好家の大夫は、ミニゲーム「エイダ・ザ・スパイ」エンディング・ムービーの彼女のミニスカ姿にご満悦なのではないかと察するのですが、いかがかしらん? 今度はスパッツ履いてないよう。
 ジャズ調の音楽とモノトーンの映像が素敵♪ 親玉のあの方もちらっと顔を見せるしね。
 ぼんくらプレイヤーのわたくしは、早々に「ザ・マーシナリーズ」の方は手を引きましたので、親玉サマに会えるのはこのムービーのなかだけ。だってチェーンソウ男が、チェーンソウ男が、あんなトコに! 「死神」ハンクでさえ一撃でダウン。
 もちろん全ステージで6万点たたき出すなんざ、100万年かかっても無理なので、ハンドキャノンも諦めてます。
 これがあれば、無限ロケランも要らないって感じの究極の武器のようでありますが。
 いったいいくらで売ってンだろう、武器屋のおっちゃん。ご存知の方がおられましたら(いるんだ、「大極宮」の読者の中にも絶対いるんだよ、そういう猛者が)、教えてくださいましね。

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■さまよう厨子王 〜 京極夏彦のコーナー

◆鉄人28号
 といえば、ビルの街にガオーでお馴染みの、先年急逝された横山光輝先生の傑作マンガ。
 何度かアニメ化もされていますね(実写もあったなー)。
 僕もものすごく小さい頃観てました。先日ある人とお話していて、僕らの世代は「鉄人派」と「鉄腕派」に別れるというお話になりまして。
 もちろん「鉄腕」といえば鉄腕アトム。僕はまあ「墓場派」だったので(笑)、いままで考えたことはなかったですが、いわれてみれば当たってます。
 僕は「鉄人派」だったようです。
 アトムはロボットといえども人格があり、家族があります。つきつめれば人間とロボット、異文化・異種族の交流と共存のお話です。ロボットの人権も主張されますし、アトムは人のため、ロボットのために苦悩します。
 一方鉄人は、「良いも悪いもリモコン次第」。まあ、機械ですから(笑)。鉄人と操縦者正太郎くんの「友情」は、まあ「使い慣れたモノに対する錯覚的愛着」と、「一種つくも神的なモノの理解不能な反応」によって形成されているワケです。
 ジャイアントロボなんかもそうですが、横山ロボはこのパターンが多いんでしょうか。
 アトムの場合は物語構造がテーマ性を持ったメタファーとなってるわけですが、鉄人の場合は設定はリアルで、ちょっぴりロマンなわけです。
 で、そんな鉄人派の人達が実写映画を作っちゃいました。
 公開に先駆けてビデオで拝見する機会がありまして。
 昨今、アニメやマンガの実写化が盛んですが、これは小説なんかと違ってビジュアルイメージが確定しているので、簡単なようでいてなかなか難しい部分もあります。
 小説の場合はどんな風に作ったって「違う」といわれるわけですが(笑)、マンガやアニメの場合は変えれば「ダメだ」、変えなきゃ「意味ない」「かえって悪い」と言われますから。それはそれでプレッシャーでしょう。
 鉄人映画、原作やアニメの味を損ねず、上手に仕上がっておりました。作り手に愛があったのでしょうか。観てるとガンバレ鉄人といってしまうわけで。
 横山先生が完成を待たずに逝かれてしまったのが、返す返すも惜しいなと思いました。

 と、今週はこんなとこで勘弁してください。

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■編集者Sのウラ情報

 先週から今週にかけてオフィスは惨憺たる状況でした。ハル君が先週一週間インフルエンザで全休。今週になって復帰したかと思ったら今度はヨーコさんがダウン。次はおいらかな。そんなことを思いながら某作家のサイトを覗いたら、肺炎でダウンしてデビューして初めて「作者急病につき休載」をやってしまったとのこと。今一番連載を抱えている人かもしれないので、大変だったろうなと思いつつ、連載をストックを持たずに締め切り毎に入稿している人は風邪もひけないなと。
 三人の中では本人も公言していますが、山椒大夫がストック無し締め切り入稿タイプ。それでももう20年以上、落としたことがないという。確かに付き合い始めてから体調を崩して寝込んだという話は聞いたことが無い。ほんとにタフだわ、あのお方は。そういうのも作家にとって重要な資質なのでしょう。(今週六本木は射殺事件にわいせつ事件、おちおち歩いていられません、S)

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■まるひの秘書ヒショバナシ

◆今週の厨子王原稿メール件名 (これまでの歴史は→コチラ
 ここ、よし、ビンゴ!
 と言っているようにはとても見えない「厨子王等身大(たぶん)パネル」のド迫力。つーか小さなお子様は泣いて逃げ出すんじゃないでしょうか。コミックや絵本の売り上げ落ちても知りませんよ!(って少しまぢで心配しています。わははは)
 ナンノコトだかワカラナーイっていう方は、ぜひトップページから「大極宮フェア2005」へ飛んで、【書店ディスプレイ集】のページをご覧ください。日本全国飛び回って見たくなりますよー。

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■ノリノリ編集後記

 1月に脳内出血で入院して手術を受けた(2月末退院)日本プロボクシング協会のファイティング原田会長が、後遺症はほとんどない状態で職務に復帰された。現役時代をリアルタイムで観ていたわけではないが、日本人初の2階級制覇を成し遂げた偉大な選手としてボクシングファンなら誰でも尊敬しているはず。
 数年前、あるボクシングイベントのときに思いきってサインをお願いしてみたら、快く応じてくださった。


ボクのたからもの


 F原田さんの座右の銘は「根性」。ベタだけどF原田さんなら納得。たいへん感激。以後、この色紙だけは部屋にありがたく飾ってあります。いまどきあまり聞かない(ってゆうか嫌われがちな)言葉だけど…僕は何事も最後は根性だと信じています。
(えべっさん、大阪プロレス退団してフリーかいな!?…ノリ)

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■アンケートから はスタッフのコメントです)

◆先日、高校受験が終わり、読まなかった本を読もうと。
テレビをつけ、片手でお菓子をついばみながら、京極さんの本を見ていたら、、やぶけました。
何がっていうと、表紙がです。はい、カバーごと。
表紙の一枚をもって、少し浮かせただけなのですが、まさか破けるとは思いませんでした。
もったいないことをしたと、、残念です。
読めればいいと言えばいいのですが、読むたびに表紙のセロテープを見ると悲しくなります。
京極さん用の本カバーを作ろうか、作らないか。。迷っています。
これからも大極宮を頑張って!いついつまでも作ってください!(あぁ。。明日は合格発表だ。。)

そんなあなたにぴったりの「京極本専用文庫カバー」が当たるかもしれないのが「大極宮フェア2005」です。もしお近くに開催書店がありましたら、ぜひご応募くださいませね。
合格をお祈りしています!(まるひ)


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下の方でコッソリ
◆厨子王原稿メール件名の歴史(本人確認用?)

更新太郎。 → こうしん太郎。 → 高信太郎。 → 香辛料。 → 甲府信玄公。(この133号あたりで件名を本格的なコーナーにされてしまうカワイソウな厨子王) → 子牛ん〜健康です。 → 庚申。元寇。 → 孔子に兼行。 → 乞う、青梗菜。 → 交趾(コーチン)。鬱金(ウコン)。「辛いなあ喰いもんネタ(笑)」というグチつき → 護身拳骨。 → 誤診現行犯。 → 小普請剣豪。 → 子負う繁子。 → こう、おしん激昂。 → 往診変更。 → 孝心言行。 → 恒心儼乎。 → 格子に拳固が。 → 誤診原告。 → (グレイと)交信。(UFOが)減光。説明付き。たまにはこうい(151号でこの件名の続きを皆さんから募集して大盛り上がり!) → 香辛料減量。 → 甲信越へ行こう。 → 荒神信仰。 → 降神、玄黄。 → コーリンえんぴつ。 → 降雨。震源。こ……うッ。 → 「コウ!」「シン? 元気?」「おう」 → 光線銃携行。 → 孝心儼乎。(孝心も儼乎も二度目の登場と、まるひにツッコマレル) →  前回のタイトルは急いでいたので一発変換だったわけです(笑)(言い訳キター!) → 工賃、下向。 → 浩二、けん、コウ(芸能人シリーズスタート?) → 工事・拳・豪 → 放心、テンコー → ちょうちんあんこう → 甲信越先行 → 古神に献香 → 降雨シーン、現場はこう…… → 懇親励行 → 殺しで連行 → 抗菌テント → GO! 真剣、GO!!(横文字初登場) → こう、芯がゲル状。 → こ、悪心、下戸。う。 → 麹、発酵。 → ここ押し。ん? 弦を、こう…… → 古址近郊 → 光子力ビーム!! → 等身大線香 → 拘禁連行 → 狂信勤行 → 高知、雲仙、甲府 → もう死んでんだろう? → 乞う。真剣若人 → 発疹侵攻 → 病身不健康

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