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 第149号へ 第150号 2004.4.9 第151号へ 
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▼山椒大夫 ▼安寿 ▼厨子王 ▼写真館

▼編集者S ▼まるひ ▼ノリノリ ▼アンケートから

■HEADLINE RUMORS 〜 風のウワサ

◆アニメ『鋼の錬金術師』のアテレコ見学に行き、出演されている声優さん達や水島監督にお会いでき、色々なお話しもできて、大感激! な宮部。

◆タイ土産を間違えて買ってきた大沢、スタッフの誰にも喜んでもらえず、しょんぼり・・・

 
■燃えよ山椒大夫 〜 大沢在昌のコーナー

◆タイ旅行
 タイに行く度に現地で事業をしている友人H氏と射撃をする。彼は拳銃の射撃トーナメントにも出ていたほどの名手で、いつもタイ陸軍の射撃訓練場に自分の銃を持ち込んで撃っている。今回もそのH氏と行ったのだが…射撃のスタイルが新しいものに変わったということをつくづく痛感した。

 もともとオイラが拳銃の射撃をおぼえたのは大学生のときアメリカのユタ州にホームステイした先で、その家の主人が郡の保安官で州の射撃のチャンピオンだったこともあり、当時は18歳なんだけど初めて拳銃射撃を教わった。そのときの射撃スタイルというのは、右手を真っ直ぐ伸ばし、添えた左手の肘を外に突き出すように曲げて構え、自分の利き目(俺の場合は右目)の延長線上に伸ばした右腕をもってくるもの。

 しかし、今このスタイルで撃ってもとにかく当たらない。当たらない理由というのは、拳銃のタイプが当時使っていた38口径のリボルバーとかから、9ミリのオートマチックあるいは45口径のオートマチックでなおかつ素材が軽量なものに変わったから。銃でいうとグロッグであるとかアメリカの海軍のネービーシールズという特殊部隊で使用されているソーコム、あるいはチェコ製のCZ75という9ミリ口径の拳銃。これが一向に当たらない。当たらないといっても15ヤード先の標的紙を外れることはないけれども、狙っているセンターポジションにはなかなかいかない。
 そしたらH氏が、今は射撃のスタイルが新しく変わってますと言うのだ。まず右手を真っ直ぐ伸ばす持ち方はもう実戦向きではないということで、両肘を曲げて体の中心に銃を持ってくる、ささげ持っているようなゆとりをもたせたスタイルだと。体重は爪先にかけて前傾する姿勢。コンバット…実戦で右腕を伸ばした状態で銃を構えている場合、銃口を咄嗟に左に向けることはできるけども、右方向にターゲットが転回したときに対応が遅れる。つまり腕を伸ばしているぶん、左にはスッと閉じれるんだけど、右に開こうとする射撃姿勢がとれないのが一点。それに腕を伸ばしきった状態でホールドしていると、建物の陰とかから叩き落とされたときに防げないということがあげられる。ところが両肘を曲げていれば、左右どちらにも即座に展開できるのと、ちょっと手を引っ込めることで叩き落されることを防ぐことができる。コンバットシューティングの理論から発生したホールドのスタイル。おっかなビックリ構えているみたいで、なんだか女の子持ちしてるみたいな形。ちゃんと当たるのかな、キックをちゃんと受け止められるのかなという不安も。

 H氏はゴルフも上手で俺の好敵手でもあるわけだが、クラブのヘッドが木のパーシモンから今のチタン素材に変わったことによりスイング理論も変化したのと同じことですよとこともなげに言う。

 で、このスタイルで撃つと確かに良く当たる。同じ銃なのにビックリするぐらい。たとえば15ヤード先の標的台の上に、タバコの箱の2倍ぐらいの大きさの鉄板をいくつか並べて撃ち落としていく場合も、旧スタイルでは7発撃って1個も落とせないのが、5発で4個落とせたりとか。そういう状況が生まれてくる。今回撃った銃はキンバーとソーコムを中心に200発ぐらい。

 キンバーという45口径弾を発射するには小さな銃は、最初持ったときにはこんなに小型の拳銃で45APCのキックがしっかり吸収できるかなという不安があったけども、実際に100発ぐらい撃ってみるとすごく良い銃で当たる。もともと45口径というのは、コルトのM1911というかつての米軍の拳銃が良く当たるし故障も少ない名銃だという思いが俺の中にあって、それを上回る命中率なのにはちょっと驚きだった。そうなったのはこちらがホールドのスタイルを変えて新しい理論で試してみた結果なのだが。
 まあ、こんな勉強どこで役に立つんだか…。
 撃ち終わった後に持ち込んだ銃を分解掃除し油を入れてくれる射撃場の連中もキンバーを初めて見るみたいで、我々が持ち込んだキンバーに興味しんしんで撃ちたそうな顔をしていたのが印象に残った。

 ソーコムも良い銃。良く当たる。これにサイレンサーを付けるとほとんど音がしないという…まさに特殊部隊専用の銃。サイレンサーを付けて使用するのが前提で設計され、独特の作りをしている。そのサイレンサーの使用は違法だから、民間人は付けて発砲できない。射撃場で使うこともできない。サイレンサーを付けた方がバランスもとれてもっと良く当たるのだろうが。

 このように拳銃を撃っていると恐ろしさもつくづく感じる。とくにハワイやグアムのシューティングレンジではいわゆる弱装弾といって、火薬の量を減らしている観光客用の弾を撃たせている。タイの軍の射撃場で買うのはフルロードした軍用弾だから、キックは全然違う。正直45口径を200発も撃つといい加減手が勘弁してくれよというぐらい痛くなる。射撃は集中力だから、集中力が萎えてくるとダメなんだよね。似てるのはやっぱりゴルフのパターなんかで、入れるぞって思って打つときと、ああ外しそう外すぞと思って一回外してしまうと、その後の集中力も衰えてくる。1発目がきちっと入ると、2発目3発目も良い感じでリラックスして撃てる。逆に1発目を外すと、プレッシャーが高くなっちゃって、当然そのへんが指先にも伝わって、弾が散ったりする。そういう意味ではほんとに集中力が必要とされる。もっとも一時間も撃つとヘトヘトになる感じはある。手も痛いしね。フルロードの45口径のキックというのは、たぶん普通の人は経験できないと思うし、ハワイとかのシューティングレンジの銃のキックとは比べ物にならない。

 またH氏は小さくてキックの強い銃が好きだ。もともと射撃の大会に出ていたぐらいだから、ガツンとくる銃が好み。小口径で大型拳銃であればキックも小さいし当たりもするけど、それでは納得できない。マニアならではの銃のセレクションで4、50丁ぐらい持っている。普段も護身用に持っているし。

 彼はルガーのP08も持ってて、これも実際に撃たせてもらったけども、まあじつにジャム(作動不良)りやすい嫌な拳銃だなあという印象。形は非常に綺麗でセクシーなんだけども、実戦向きではないなとつくづく思った。手袋でもはめてないとちょっと辛いな。グリップのケツも尖ってるし、ガツンガツン手のひらと親指の付け根にあたる。とても痛いのだが、そのガツンを受け止めてやらないとジャムを起こす。現代の拳銃みたいにちょっと肘をゆるめて反動を逃がすと、キックをちゃんと受け止めてやらないぶん作動不良が起きる。トグルと呼ばれる排莢装置が後退しないのだ。第一次世界大戦当時のドイツ軍兵士はきっと頑丈な手をしていたのか。1908年の設計だから、設計思想がそこまでいってなかったのか…。

 射撃をするならタイはすごく良い。弾もアメリカの十分の一の値段。軍の射撃場だからアブナい奴もいないし、かなり集中できる。
数えきれないぐらい拳銃の射撃はしてきたけれど、今回この新しい理論につくづく感心した。次回タイに行ったらこのスタイルを自分のものにすべく1000〜2000発ぐらい撃ってこようかなと思っている。
 今回はほんとに目からウロコだった。

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■安寿のがまぐち 〜 宮部みゆきのコーナー

◆アウトブレイク
 家中、風邪だらけ。みんなでダウンしました。
 5、6年前にも、インフルエンザでこんなことがありました。どこでもここでも人がゴロゴロと高熱にうなされて寝込んでる。熱が38度代の前半にまで下がると、買い出し係になるの。でもヨロヨロしているので、二人一組で助け合ってヨレヨレとスーパーまで氷とかポカリスエットとか買いに行くんです。
 まさに『復活の日』そのものでしたなぁ〜。
 今回はそんな深刻なものじゃないです。熱はすぐ下がりました。今はただ、宮部の声がドナルドダックみたいになってるだけ。それが案外面白い。この声、気に入ったのでキープしたいのですが、何か方法ないかなぁ。

◆改名
 営団地下鉄が「東京メトロ」になりましたね。
 本当は「東京メトロイド」というんだよ。
 モーフィングボールとボムを装備していると、いろんなショートカット・ルートを通ることができますの。大手町と赤坂がつながっちゃったりするのよ。他にも、意外なところにスピードブースターブロックがあったりして。
 試してみてね。

 と、この更新原稿を送ったら、ノリノリに「風邪菌が頭に入っちゃったようですね」と心配されました。
 もちろん嘘です、嘘ですからね、皆さん。でもホントにそうだったら楽しいな♪

◆ゲーム女の生きる道
 風邪に阻まれてクリアできなかった「鋼の錬金術師 迷走の輪舞曲」。アルの猫集めの技が可愛くて強い!
 ハガレンと言えば、今週は大トピックがあったのにぃ〜! 風邪薬でぼうっとしている自分が憎い〜。
 ヘッドラインでハル君が書いてくれてるかな? うっふっふ♪

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■さまよう厨子王 〜 京極夏彦のコーナー

◆狩りもの。
 去年は行けなくて。今年は行きました。例年よりひと月以上早いのですが、潮干狩りは丁度よいですね。タケノコの方は、この時期ではちょっと早いんですが、おかげで若い柔らかい新筍がいっぱい採れました。ただ見つけるのが難しいのね。まだ先っぽが出てないので。でも、遅く来るよりいいですね。いつもは掘られて穴だらけですからね、地面。潮干狩りは潮の加減で大漁とはいえませんでしたが、十分おいしい貝が採れました。

◆生き妖怪。
 大水木展の会場入口には、なななんと生き人形ならぬ生き妖怪が設置されるのです。いや、水木大先生の1/1そっくり人形なんですが、これ、単なる蝋人形とかじゃなくて、関節可動型でしかも笑うというスグレもの。各会場ごと違う服装、違うポーズでいらっしゃった方をお出迎えする予定です。当初はオナラをする仕掛け(!)を作る予定もあったようですが、流石にそりゃお客さんが帰ります。入り口でオナラはねえ(笑)。って、どんな仕掛けだったのか知りたいけど。臭いは……ないだろうね。

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■証拠写真館

◆2004年4月8日 会議のため大沢オフィスに作家が集合。



男性チーム

大極宮フェア読者プレゼント用の色紙に
サインしました。

風邪ひきミヤベ


サイン色紙

当選者にはこの色紙が送られます。



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■編集者Sのウラ情報

 1月中旬ごろから全国の約1千書店で展開しました「大極宮フェア」、多くの方にお買い上げいただいたようでありがとうございました。今回はお買いあげ下さった皆様にささやかながらプレゼントをと思い、三人の寄せ書きサイン色紙や図書カードを抽選ですが用意いたしました。
 その応募は3月末で締め切ったのですが、多くの応募をいただきました。昨日三人がオフィス会議と恒例「大極宮3」の鼎談のために集合しましたのでサイン色紙を書いてもらいました。(どこかに証拠写真がアップされていることでしょう)。同時に図書カードも完成しましたので、今月末までには発送したいと思っております。これをご覧で応募したという方、いましばらくお待ちください。ひょっとしたら届くかも……。
(「大極宮3」の詳細は後日、S)

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■まるひの秘書ヒショバナシ

◆今週の厨子王原稿メール件名
 誤診原告
 裁判勝訴をお祈り申し上げますー。

「タイで買ってきてくださいネ♪」と私が大沢にリクエストしたのは"ドリアンチップス"。前にアルバイトのヨーコちゃん(タイフリーク)にオミヤゲでもらって、たいそう気に入ったのです。なんていうか、ポテトチップスのドリアンバージョンですね。あの独特のニオイがほとんどなく、ナッツにも似たクリーミーな味わいが酒のツマミにぴったし!  というわけで、とっても楽しみにしてたのに。
 大沢の仕事場からオフィスに届けられたブツは、薄くスライスして揚げたチップスではなく、果肉をまるっとフリーズドライしたとおぼしき、その名も"さくさくドリアン"(外箱に日本語でそう書いてあるんですよ。これじゃ間違えても仕方ないですけどね)。缶の封をきってみると、あたりに漂う微妙なかほり・・・
「コレ違いますー」
「違うねーーー」
「違うじゃーん」
 の声がとびかう中、ドリアン好きのヨーコちゃんがトライ。大きさも形も栗の実に似ているソレを一口かじって降参。S氏、ハルと果敢にチャレンジするも、次々に敗北宣言。それを見ていた私は、手を出すのをやめました。わはは。
 別にね、大沢が"チップス"ではなくて"さくさく"を買ってきたことじたいはいいんです。「わかったー、ドリアンチップスなー」とメモまでとって、忘れずに買ってきてくれた気持ちはホントに嬉しいんですから。
 問題は・・・誰がソレを、大沢の間違いを本人に告げるか・・・
 今後もタイへ旅行するだろうと思われる大沢が、この"さくさく"をオミヤゲの定番にする危険性は、何としてでも回避せねばなりませんからね。
「んで、誰が言うんだーーー!」
 部屋にいた全員が(アンタしかいないだろう)と、その言葉を発した人間(つまり私)を見つめました。はぁぁぁぁ、わかりましたよ。
「ボッスぅぅぅ、せっかく買ってきてくれたオミヤゲなんですけどぉぉぉ・・・」
 真実を知った大沢は、上のウワサにあるとおりです。ううう、心が痛むぜ!
 でもねでもね、セットで入っていた"さくさくマンゴスチン"はオッケーでございますよ。S氏が喜んで食べていますよ♪ と、フォローしておきましょう。

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■ノリノリ編集後記

 山登りの会で九州の鹿児島に行ってきました。開聞岳を登り、指宿CCでゴルフ。みんなの意見を取り入れた結果…一泊二日なのにいつもながら超ハードな日程! で、予定通りに過密スケジュールを進行させることこそ幹事のウデの見せ所なのに…出発の飛行機50分も遅れないでよぉ(泣)。鹿児島空港到着後、すべての行動が"巻き"になったじゃない。まあ、それでもしっかり指宿温泉では砂風呂も体験。感想は…順番を間違えたかな。登山で汗だくになり一刻も早く汗を流したい肌に、さらに砂をかけられるというのは不快感がまさってしまった。その後に入った温泉は泣けるほど気持ち良かったけどね。
(夏山最大目標は槍ケ岳!!…ノリ)

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■アンケートから はスタッフのコメントです)

◆今回の週刊大極宮で、次回149号は〜 となっていますが150号の間違えじゃないですか?

間違えました・・・こっそり直しましたあ!(まるひ)

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