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 第127号へ 第128号 2003.10.31 第129号へ 
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▼山椒大夫 ▼安寿 ▼厨子王

▼編集者S ▼まるひ ▼ノリノリ ▼アンケートから

■HEADLINE RUMORS 〜 風のウワサ


◆朗読会まであと2週間あまり。どこかで行われるというリハーサルでの出来はいかに!?

 
■燃えよ山椒大夫 〜 大沢在昌のコーナー

◆選考会
 第7回ミステリー文学大賞新人賞の選考会があった。
今年は残念ながら受賞作なし。長編新人賞の選考をやって受賞作なしというのは初めての経験だ。
 新人賞は、作家を目指す人に作家デビューの機会を与えるものなので、その年のベストワンを選ぶという観点に立てばとりあえず出すことはできる。ただ、今のように出版状況が厳しく、一方でミステリー作家
の層が厚くなっている時代に、無理矢理(だろうな…)戦力的に戦えるか微妙なレベルの新人をデビューさせてしまうのは、その人にとってもむしろマイナスなんじゃないか。本人にとってみれば、デビューというのは人生が変わるほど大きなきっかけになることだし、それによってこの先どう生きるかにも関わってくる。もちろん受賞してデビューしたいという気持ちが強いだろうけど、未評価というかまだ機が熟していない状態でデビューしてしまった結果、後が続かなくて先々非常に苦労する…ということも考えられる。
 ということで今回は受賞作なし。最終候補に残って受賞できなかった人たちは、選評を読んで来年に向けて努力してください…と、申し上げるしかない。
 受賞作がない選考会というのは、終わった後に徒労感というか、虚しいというか…じつに浮かない気分になる。

 ミステリー文学大賞の方は、森村誠一さんが受賞された。
受賞パーティーでお祝いしたい。

 選考会の後は、大賞の選考委員をしている北方謙三氏と会って、先週、競輪でゲットした100万円でおごれと迫った。もう使ってしまってないとしらばっくれられたが、今夜はいつまでもついて行くぞと嫌がる北方氏に付きまとい、銀座の夜に繰り出しました。

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■安寿のがまぐち 〜 宮部みゆきのコーナー

◆変な夢
 馳星周さんがHPで「変な夢」について書いておられ、その夢には宮部と厨子王がヘンな役割で登場しているそうであります。
「変な夢」ならわたしは専門家だぞ。毎日のように見ているからな。
ホントに掛け値なし、ほとんど毎日夢を見るんですよ。しかも、たいていは悪夢。自分でも、頭のどこかの回線がショートしてるんじゃないかと不安になるほどです。
 でも、つい最近、親しい編集さんが、やっぱり頻繁な悪夢に悩まされているというお話を聞き、「ああ、仲間がいた!」と安堵したところです。
 夢って、眠っている間に脳が棚卸しとか整理整頓をしているから見るものなんですよね(だからあんまり気にしない方がいいそうです)。しょっちゅう見るってことは、宮部の脳のキャパが小さいからなのかな。
収納が少ないので、脳が苦労してるんですかね。ツマンナイことばっか、いっぱい考えとるしな。

◆ゲーム女の生きる道

 【頼まれてもいないのに紹介攻略するシリーズ その2】
・コナミのシミュレーションRPG『ヴァンダルハーツII 天上の門』(1)

 先々週、先週とご紹介した『ヴァンダルハーツ 失われた古代文明』の続編であります。
 であるからして、グラフィックとか音楽、字幕の出方などは、前作と同じ雰囲気を継承しています。可愛らしいパステルカラーは一切抜きの、重厚な映像。前にもちょっと書きましたが、公式イラストとゲーム画面で動くキャラのかけ離れ具合いのスンごいことが生むアンバランスな面白さ。
 しかし! 『II』の本当に凄いところはまったく別な部分にあります。
 それは大きく分けて2つ。

一般的な交互ターン制のシミュレーションRPGとは一線を画する「デュエルターン制」の導入。
豊富な「技」(魔法を含む)を武器を装備することによって習得し、さらに「技転送」システムにより、覚えた技を任意の武器にくっつけて使うことができる。ですから、『II』ではクラスチェンジがありません。
HPとMP、技を使うために必要なEPも、防具や武器をチェンジすることによって自由に増減することができるのです。
たとえば、前のマップでは戦士タイプだったキャラを、次のマップでは魔道士にしちゃうなんてことも自由自在。
これぞ究極のキャラクター・カスタマイズだ!

 今週は1の「デュエルターン制」についてご紹介しちゃいます。
「デュエル」。「決闘」という意味ですね。「タイマン勝負」とも云うかな。
 いやはやこれ、ホントに画期的なシステムなんですよ。
でも説明するなら簡単。
自キャラも敵キャラも、同一ターン内に行動する。
自キャラを一体動かすごとに、敵キャラも一体行動する。
つまり、プレイヤーがユニットの一人を動かすと、敵も一体、同時に動くということなんです。
 敵の行動には一定の決まりがあります。
まず、プレイヤーのユニットが攻撃範囲内に入るように移動してくる。
プレイヤーのユニットに接近すると攻撃を仕掛けてきますが、その際、狙いを定めたユニットの、
 1 背面
 2 右側面
 3 左側面
この順番で、位置取りをしようとしてくるんです。で、上の3つのどのポジションもとれないときは、正面に来て攻撃します。敵キャラは、プレイヤーのユニットが誰かしら攻撃範囲内にいるときには、攻撃せず「待機」を選ぶことはしません(プレイヤーは「待機」コマンドを選ぶことがもちろんできます)。
 ちょっと想像してみてください。これだと――ね? 
要するに、バトルが常に「次の一手」の読み合いになるんです! 次はどの敵キャラが動き、誰が狙われるのか。
一手一手がハラハラどきどき。
 それでもまだ、自キャラも敵キャラも人数が少ないうちはいいんです。敵の動きが読みやすい。でも双方の人数が増えて、攻撃手段も増えてくると、ホンットにもう頭がコンランしちゃうくらいにスリリングなのだ!
 特に読みにくいのが「弓」や「投げ」(手裏剣とかブーメランとか)を装備しているキャラの動きです。
前作同様、高所からの弓系攻撃に死角が生まれることもあり、コントローラーを手にカーソルを動かし、「こいつの行動範囲は? 攻撃範囲は? 技の範囲は?」と、綿密にチェックしつつ全体の動きも見張っていないと、あっという間に一人二人と戦線離脱。もちろんその逆もありで、オトリのキャラをうまく使って敵を誘い出せたときなんか、鼻のアナがふくらんじゃいます。
 病みつきになっちゃう!
 こういうシステムですから、読みをはずすとその攻撃はスカになります。だからそれを逆手にとって攻略してゆくわけよ。HPの減っているキャラと、主人公が優先的に狙われるということを覚えておけば、慣れてくると、面白いほど素直に敵がこっちの仕掛けた罠に飛び込んできてくれたりして、愉快なことこの上なし。
 いかにして敵の攻撃を「スカ」にし、こちらの攻撃を効率的にあてていくか?
 その問題の解決が、キャラのパラメーター頼みではなく、プレイヤーの「先読み」にのみかかっている。上手なプレイヤーなら、レベルがたりないキャラだって、うまく立ち回って強力な敵を倒すことができるんです。他にこんなシミュレーションRPG、見たことない!
 あーあ、どうしてこのシステムを継承して『III』を作ってくれなかったんだよう。今からでも何とかしてもらえませんか、コナミさん。

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■さまよう厨子王 〜 京極夏彦のコーナー

◆キクニさんと。
装丁大賞の選考をいたしました。
漫画家の喜国雅彦さんですね。
去年はお休みさせていただいたので二年ぶり。
まあ、選考といってもただミステリやら古本やら豆本やらマニアな話を蜿々としてるだけなんですが。
賞もいいかげんな名前の賞ばかり出すし。
まあ最初から最後まで笑ってますが、二人とも。
でも、決してふざけてるわけじゃありませんね。
たぶん、ですが。

◆クニキさんが。
わが家にいらっしゃいました。
キクニさんの奥さんでやはり漫画家の国樹由香さんですね。
漫画の取材です。つっても相手は僕じゃなくて、
取材されるはうちのネコ。
メフィスト(講談社)好評連載中の「アニマル探偵団」ですね。
ケモノのくせにインタビューとは! ねえ。
よくしゃべるし。うちのケモノ。

◆ヒガシさんと。
怪談系の密談を(笑)。
怪談プロジェクトも静かに静かに進行しております(静か過ぎるという意見もあるが)。
で。
その時話題になったのが来月刊行される『小説・読書生活』(国書刊行会)という本。
著者は関戸克己。といってもどなたも知らないでしょうが。
残念ながら昨年、デビューを目前にして亡くなってしまった、新人小説家です。
ぼくの古いなじみでもありまして。
それがなぜ話題になったかといえば、まあ、その本の出版に尽力してくださったのが東さんで、解説や装丁がボクだったから……ではあるんですが。
何よりも、某ウェブ書店のつけた惹句の中の「天才」の二文字がですね、話題の元でした。
いやあ、生前の彼に見せたら笑いころげていただろうなあ。
泣いたかな(笑)。
いずれにしても奇妙な小説ですので、興味ありげな方はぜひご一読を。

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■編集者Sのウラ情報

 やっぱり馬主のいうことは聞いておくものですな。ゼンノロブロイにも裏切られたし。でも「かなりの金額」は突っ込んでませんって。天皇賞に讃岐を賭けよう、かな。競馬ネタばかりではあれですので、今回はとっておきのネタを。
 早いところでは11月13日から安寿の久々の書下ろしミステリー「誰か」が実業之日本社から出版されるのはご存知だと思いますが、次回更新(11月7日)時に冒頭部分を立ち読みできるようにファイルをアップする予定です。
 既刊本の立ち読みコーナーは多くの皆さんに喜んでいただいてるようですが、「誰か」から事情が許す限り新刊もごく少量のページではありますが発売日前に立ち読みできるようにしていきたいと思っています。
 これから、というところで切ってあげますからモニターの前で悶絶してください、と思っているオイラってイヂワル?
(讃岐情報ありがとうございました、S)

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■まるひの秘書ヒショバナシ

「まるひさーん、京極さんでっす」
更新日金曜夕刻の厨子王からの電話は、
「原稿メール、今送っときましたから」という、平然とした調子の中にちょっぴり鼻の高さをにじませた声が聞けるか、もしくは・・・
「しゅ、しゅみませぇぇぇん、今日は遅くなるかもですぅぅぅぅ」って、ひたすら平身低頭ゴメンナサイな内容か・・・
どちらかを想定して受話器を取ります。といっても、どうも最近は後者がめっきり少なくなってきまして、イジメ甲斐がないんですけどネ。
もぉつまんなーい、ネタもなーい、と困っている私に救いの手を差しのべるかのように、久々に来ましたです! ゴメンナサイが! ニンマリ。
でもでもでも、話を聞いてみれば、厨子王ゼンゼン悪くないし・・・。
「パソコンのメンテナンスが、長引いちゃってるんですよぅ。お昼過ぎには終わってるはずだったのにぃ」
あらあらあら、仕事も止まっちゃってるんですか。それはタイヘン。
これじゃあイジメられませんわね・・・ガッカリ(?)
じゃあ、11時過ぎまで待ってメールが来ないようだったら、先にアップしちゃいますね、届いた時点で原稿差し替えしますー、ってことになりました。早くメンテナンスが終わるといいですなあ。

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■ノリノリ編集後記

六畳ひと間の事務所が物であふれてきました。もともとスペースがないところに朗読会用のグッズが届き始めたからです。大切な商品…不良在庫にならないことを祈るばかり。
とりあえず明日、明後日と神保町に持って行きますので、皆さま買ってくださいまし。昨年の朗読会が聴けるようにラジカセと、競馬中継が見れるようにミニ液晶テレビを持っていきますから。
お待ちしておりますぅ。
(天皇賞はモノポライザーでも買ってみるか…ノリ)

  
■アンケートから はスタッフのコメントです)

◆幻水1ファンの間では結構有名なCDなので、多分同意見多数だと思いますが、宮部さんが24日の大極宮でお書きになっていらしたヴァンダルハーツのOPは、ヤドランカの「悲しみを燃やして」と言う曲です。
幻想水滸伝1のCMソングも歌ってらしたので、その曲がカップリングになったシングルが大分前に出ていたのですが、最近は廃盤になったらしく、あまり出回っていないようです。
VHのサントラは出ているのか謎ですが…。(他多数)

ヴァンダルハーツの歌に関しては、アンケートやメールでたくさんの情報をお送りいただきました♪ ほんとうに優しい方が多くて感激ですーーー!(まるひ)

◆立ち読みコーナー、大沢先生の『新宿鮫』のカヴァーが『野獣駆けろ』のものになってますよ〜。(他多数)

はぁ、またやってしまった・・・。何食わぬ顔で直しておきました。ありがとうございますー。(まるひ)

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