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 第71号へ 第72号 2002.9.6 第73号へ 
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▼山椒大夫 ▼安寿 ▼厨子王

▼まるひ ▼編集者S ▼ノリノリ ▼アンケートから

■HEADLINE RUMORS 〜 風のウワサ


◆京極の書き下ろし長編『覘き小平次』の進行度…100%!!!

 
■燃えよ山椒大夫 〜 大沢在昌のコーナー

◆まだまだ寂しい…
残暑も厳しいが、夏の終わりはほんと苦手だ。
気づくと日常の中に埋没させている自分が寂しい。
感傷をじっくりと噛むことができない虚しさ…。

◆オフィスは賑やか
一方、オフィスは「大極宮フェア」に向けて最終調整に入っていて
慌ただしい。
厨子王の『覘き小平次』もどうやら脱稿したようで…
フェアにすべり込めそうな気配に(一同)ほっとしている。

◆世の中は…
不況不況といわれながらも、夜の巷は相変わらず人々がいて…
座ってウン万の店に飲みに行くと、一時は金融屋さん(貸金)が多かったが、
その人たちもここにきて数は減っている。
代わりとなる(景気が)いい業界もあまり感じられない。
ただ、これから先、不況が続いても働き口のあるのは、労働者の
新陳代謝の激しいサービス業界だろう。
小説家というのも、大きく分けるとサービス業。
小説という娯楽を提供して、代価を得ている。
今は小説家も新陳代謝が激しく、年々新人作家が生まれると同時に
消えていく人もいる。まさにサービス業の典型かな。
…長く生き残っていくのは大変なことだ。
今年も残り三分の一。世の中はどう流れていくのか。
ここ数年、毎回毎回大きな角を曲がっているような気がする。
角の先に上り坂が待っているのか、下り坂が待っているのか。
間違いなく平坦な今までと同じ道ではないだろう。
夜の巷をうろつきながら…
ふと、そういう我が身に思いをはせていたりもするのだ。

◆なんだかんだ言いながら…
週末、北海道までゴルフに行ってきま〜す。
骨折して、3月のグアムゴルフツアーに行けなかった“K書店のS戸くん”の
ために、北海道ゴルフコンペを強行!
一泊二日で2ラウンドというかなりのハードスケジュール。
最近はイベント事をする作家が少なくなったと聞くが、山椒大夫はこれも
業界活性化策のひとつと考えている。
今後も続けるつもりだ。(もちろん、仕事もキッチリ)

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■安寿のがまぐち 〜 宮部みゆきのコーナー

◆あぢい
戻ってきた残暑でバテバテです。昼寝の心地よいことよ…。

◆今週のゲーム女のひと言
クリアしてしまうのがもったいなくて、いろんなパーティを組んではウロウロ
している『幻想水滸伝III』。お風呂イベントは全部見たのですが、壁新聞は
大部分見逃していたのが悔しい。
今回は、108星を集めるにはさほど苦労しないので、その分、隠しイベントの
楽しみを満喫できるのがいいですね。
なんといっても演劇です、演劇! 『II』の料理イベントも楽しかったけど、
今度の演劇にはどっとハマってしまいました。
配役を決めるとき、キャラの脇に表示されるコメントも秀逸。
ミヤベは『I』→『II』と継承したデータを読み込んでいたので、「帝国の愛」と
「決戦! ネクロード」の両方の脚本を手に入れることができました。
で、この「決戦! ネクロード」でナッシュをナレーターにすると、シエラの
ことをボロクソに言うアドリブをやらかします。
あんた、まだ15年前の恨みを忘れてなかったワケね。

星辰剣の持ち主であるエッジ(剣が長いので、戦闘のときには引きずる
ようにして走ってますが、けっこう強い)を、ビクトールの役にしてみると、
台詞も満足に言えない。でも、フリックの役にしてあげると、ちゃんとそれ
らしい台詞を言って、演技をするんですよ。
あんたのお父ちゃん、やっぱりフリックなの?(父親が誰かといえば、
ヒューゴとベルのお父さんも、それぞれ誰なのか名前も出てこないですね。
クリスのお父さんが誰かという以上に、気になってしょうがなかったファンも
いるでしょう)。

配役に凝っちゃうのは、やっぱり「ロミオとジュリエット」です。
ロランとネイ(エルフ同士)とか、メルヴィルとアラニス(芸達者子役)とか。
ゲドとクィーンの組み合わせにしてみると、セットが壊れるほどヒドイんです
けど、試してみました?
クィーンは巧いんですけど、隊長はまるでヤル気なしなのよ。
ま、実年齢を考えると、今さら芝居でもないってことかしらね。
ヒューゴ君は何をやらせてもなかなか達者で、一生懸命なのがよろしい。
性格もいい子ですもんね。きっとジョー軍曹の躾がよかったんでしょう。
歴史小説にもよく出てきますけど、武将の家では、お守役の存在が重要
だということです。

14日に完全攻略本が出るそうですが、それまで延々と楽しむことにします。
今回、たったひとつ残念だったのは、ゲオルグ様が出てこなかったことだけ。
嗚呼、何処におわしますや。
そういえば、あれだけユーバーが暴れ回ってたのに、ペシュメルガ様も登場
しませんでしたね。
鎧を脱いで出てきてくれるかと、期待してたのにぃ♪

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■さまよう厨子王 〜 京極夏彦のコーナー

◆脱稿。
脱肛ではないので。念のため。原稿書き終わったつうことです。
『覘き小平次』ですね。20%増量でしたが。
いや、脱稿してから印刷に回るまでが速いわけですよ。
月曜脱稿水曜校了即印刷みたいな。短編並み。旧来型なら後一月以上
かかってたでしょうね、本が出来るまで。
いや、長い道程お付きあいいただいた中央公論新社のWさん、Mさん、
技術面のサポートをしていただいたYさん、I部長、ごくろうさまでした。
(“大極宮フェア”にも間に合いましたぜ←ほっとするスタッフS)。

◆邂逅。
で、あー終わったと思った時。
敬愛する大先輩のミステリ・クリエーター、山口雅也さんからご連絡が。
なんと山口さんも単行本の著者校正を終えたところだそうで。上京ついでに
わが家に寄ってくださいました。
それも『生ける屍の死』以来、なんと長編としては二作目となる作品。
山口さんは昨年の夏にもたまたまわが家にお寄り戴いて、その時に構想を
聞かせていただいたものでした。
なんとまあ、どっちが一日ずれてても、お互い忙しくて会えなかったのに
ねえ……というわけで、山口さんの作品ののタイトルはずばり『奇遇』。
奇遇な話でございました。

◆縮緬。
ちぢみめん、じゃありません。手打ちラーメンじゃございませんので、これも
念のため。
“ちりめん”です。縮緬本、御存知でしょうか?
幕末から明治初期にかけてつくられた、もうひとつの浮世絵版画。
美しい絵入りの和紙をちりめんのように加工したものです。
明治時代のビジュアル本とでもいえばいいのかしら。綺麗なものです。
ラフカディオ・ハーンのなんかは有名ですね。童話の英訳本なんかは外国人
にもバカ売れしたようで。
ただ、技術が絶えてしまったのですね、すっかり。
うーん、そういう話に弱いな。僕。
で、その縮緬本が、荒俣宏大人の肝煎でついに復活。今回は、国宝の
修復などをされているプロフェッショナルの方々の手で、永らく絶えていた
秘伝技術が再現されてしまう!
それでもって、絵柄は我が水木しげる大(おお)先生の作品に決定。
弟子である僕も微力ながらお手伝いを致します。(そうとう手間も原価も
かかるらしいから復活も一度きりかもしれませんが……)
張り子、古典落語、狂言と続き、もはやライフワークとなった(笑)日本の
伝統芸能シリーズということで。
もう、これは立派な文化事業ですなぁ。

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■まるひの秘書ヒショバナシ

文庫『大極宮』の見本が出来上がってきたので、お先に読ませていただき
ました。うひ。
上にある作家たちのコーナーを、創刊号〜49号まで個別にまとめてあるん
ですけどね。ずっと自分で更新してきたんだから、内容もわかっているくせに
要所要所で思わず「ギャハハハ!」などと、下品な笑い声をあげてしまい
ました。
作家別にどどーんとまとめ読みできるってところもポイントですが、何よりも、
この文庫のために語りおろした3人のツッコミが、もうもう絶妙でっす。
このサイトをご覧になっている方々も、「バックナンバーで読めるんだから、
別に要らないじゃーん」とか冷たいことおっしゃらずに。ほら、ウェブページで
見るのと"紙"で読むのとでは、また印象も違いますしね。
ちなみに巻末には
●実録! これが大沢オフィスの一週間だ!
(JETさんによるマンガ付き)を収録。
ノリノリ・S・ハル・そして私が、月〜金曜日のどれかを担当して書いてます。
(原稿料無し・・・私は2日ぶん書いたのに! シクシク)
というわけで、『ポケット版 携帯大極宮』(たった今、勝手に命名)を、ぜひ
あなたのお供に〜♪ あ、立ち読み厳禁ですよ〜。

以上、宣伝でした。
よろしくお願いいたします。ぺこぺこ。

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■編集者Sのウラ情報

どうも夏場というのはネタがなくていけませんな。
ネタは作るもんだ、というわけにもいかず。で今週もフェアネタでいこうかと。
今回のフェアは5社共同企画ということなんですが、その打ち合わせで
各社を訪問させていただきました。
永年、弱小出版社のボロビルに勤務していた身からすれば、オフィスして
ますな。受け付けあるはガードマン立ってるし。
出版社ほどその企業差が大きい業種は少ないんじゃないでしょうか。
もちろん、その大小が社の「質」をあらわしている訳じゃないですから誤解の
無いように。
人数とか売り上げとかの単純な数字から見える大小ね。
それこそワンルームマンションの一室で、一人で自分の作りたい本を
コツコツと編集して、自ら書店を回る。これもまたまぎれもない出版社なの
です。かたや1000人、かたや1人。
でも1000人クラスの出版社って、数社。
メーカーなんかでいえばどっかの地方工場程度。
出版社って社員数だけでいうと、ただの中小企業?(S)

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■ノリノリ編集後記

NHK“みんなのうた”を見ていて泣きそうになった。
…ってゆうかちょっと泣いた。平井堅が歌う『大きな古時計』。
たまたまテレビをつけていて、懐かしいなぁと思いながら、ぼんやり字幕の
歌詞を読んでいたら、なんだか…な、な、涙がっ!
幼少の頃、両親が共働きだったので近所に暮らす祖父母と一緒に過ごす
ことが多かった僕は、亡くなったおじいちゃんを思い出してしまった。
とくに“今はもう動かない”の部分で時計ではなく、おじい…ああ…ダメだ…
悲しくなるぅぅぅ!
大沢さんと「夏の終わりは寂しい」なんてしんみりした話をした後だったせい
かもしれないが…。
でも、「オリコン」シングルチャートで1位になるぐらいだから同じように
この曲が心に染みた人がいるんだろう。
小学生の頃、歌詞の意味など理解せず、他の歌と同じように大声で
がなりたてて歌っていたものだが…歌い方を間違っていた。
これから学校で教える先生は、平井堅のバージョンで教えるといい。
それにしても…たった2、3分で感動してしまう音楽って凄い。
(アニメ『ちびまるこ』でもたまに泣く。もう年かぁ…ノリ)

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■アンケートから はスタッフのコメントです)

◆大沢版ルパン三世! ぜひ実現を期待しています。
山下毅雄氏の音楽、チャーリー・コーセー氏のスキャットが醸し出す、
初期シリーズにしか無いあの色気と雰囲気。
007みたいに巨悪と戦う必然性も無く、ただの自由な悪党だったはずの
ルパン一家の、粋な犯罪物語を、ぜひブルースにのせて、颯爽とではなく、
はにかみながら、蘇らせて下さい。
ほかにも何件か同じようなメールをいただいた。
すぐに反響があるあたり、さすがは“ルパン”。
ところで…登場人物の中では次元大介に憧れているのだが、長い付き合いの
友人は「お前のキャラはルパンだ」とキッパリ。
その友人はルパンに憧れているが…キャラは次元。
おかしなものだと、話したことがある。(大沢山椒大夫)

◆「だいごくぐう」と読んでました。
◆私は「たいきょくのみや」と読んでおりました。
◆心の中でいつも「おおごくきゅう」と読んでいたので、
◆わたしはずっと「だいごくきゅう」と呼んでおりました。
◆私は「だいきょくきゅう」と読んでいました。
◆私はずっと「おおごくみや」と読んでました。
いやー、人の数だけ「大極宮」。いろんな読み方ありますねー。感動!
別に無理して「たいきょくぐう」って呼ばなくても、今までどおりの読み方で、
ちっともかまわないんですよー。(まるひ)


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