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 第177号へ 第178号 2004.10.29 第179号へ 
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▼山椒大夫 ▼安寿 ▼厨子王

▼編集者S ▼まるひ ▼ノリノリ ▼アンケートから

■HEADLINE RUMORS 〜 風のウワサ

◆この更新作業が行われている今、三人の作家が大沢オフィスに集結してナニヤラ悪だくみをしているとかいないとか。

証拠写真


 
■燃えよ山椒大夫 〜 大沢在昌のコーナー

◆地震
 先週、台風という天変地異の話を書いたとおもったら、今度は新潟で大きな地震が起こった。
 いちばんお見舞いしたいというか同情するのは、大きな余震が立て続けに何度も何度も何日たっても来ていること。人間は最初の恐怖がすり込まれるから、最初の地震ではまだビックリするだけで済んだのが、今度は余震のたびに恐怖も一緒にこみ上げてくる。反射的な恐怖心というのは抑えられるものではない。参るだろう。それも阪神淡路大震災のときにはなかった震度4を超える余震。余震というよりはまだまだ本震が続いていると言ってもいい。

 阪神淡路大震災のときは場所が都市部ということで直接の被害は甚大だったが、一方で食料が足りないとか水が足りないということはあまり起こらなかった。今回の山間の孤立した集落がいくつもある地方の場合、やはり道路が寸断されたりすると途端に食料が足りないとか水が足りないとか毛布が足りないとかということになる。何十年も経った古い民家、一軒家は大きな地震に弱く倒壊し、まだまだ場所によっては根本的な生命の危機を感じるような状態が持続している。現代のこととは思えない、40年とか30年前のような…あるいは日本ではないような厳しい状況が今回の被災地を襲っている。そして、お年寄りを多く含む被災者を見ていると、日本の現状…弱者の縮図は地方にあるのがよくわかる。
 あのお年寄りたちが寒いなか何日も避難生活をしているのを見ると胸が痛む。仮設住宅を作ったとしても、豪雪地帯だから冬が来て1メートル2メートルと雪が積もったときに乗り切れるかどうかもすごく心配だ。地震では生きのびたのに、冬を越せずに亡くなるなんて人が出てくるんじゃないだろうか…。

 このような不幸が起こると、普段は変化がなくてつまらないと思っていた日常がすごく幸せな時間だったなと気付く。平凡だけどいつもの日常に早く帰りたい、いつもの暮らしをしたいとみんなが願うはず。でも、そう願っても家を失ってしまった人たちにはそれはないわけで。帰る場所がないというのは悲惨で、同情という言葉では言い表せない。「大変でしょうね」としか浮かんでこない。
 でも…希望を失わず…いつか別のかたちであれ今までとは違うかもしれないけど…生き延びて良かったと思える幸せを味わうときが必ず来るはずだから…「明けない夜はない」という言葉じゃないけど…がんばってくださいとしか言いようがない。

 こういう天災があると、小説家って何もできないなとつくづく感じ、苛立つ。我々が役に立つのは平和な時代だけで、戦争とか天災とか大きな不幸が襲ってきたときは無力だ。もしもチャリティー朗読会の追加公演をやることになれば、新潟の被災者の人たちに何か役立つことをしたいと思う。いまの我々にはそういうことぐらいしかできないだろう。

◆拘束
 イラクで日本人が拘束された。彼のとった行動は軽率ではあった。ましてやこんな時期に(日本国内がこんな状況とは知らなかっただろうが…)。結果はわからないが彼の置かれている状況はひじょうに厳しいと思う。そして、彼の自宅には「何を考えているんだ」といった誹謗の電話が一晩中かかってきたらしい。
 でも、それは違うだろう。
 怒りや苛立ち、憤りを持つのは人間感情からいって理解できなくはない。しかし囚われている人間の家族の方にこういう電話をしてしまうというのは、歪んだ感情だ。
 現地に行って捕まってしまった彼は確かに愚かしいが、その家族を責める人間はもっと愚かだ。自分は安全地帯に身を置いて、人を非難するぐらい簡単なことはない。それに気付かない人間がこんなに多いとは。すべてに幼さを感じる。

 このところさまざまなことが続いて、いろいろなことを考えざるをえない。多くの人と同じように、自分もありきたりの人間である。思うことがあってそれを言える場所があるので…今回は書いてみました。

◆カンヅメ
 久しぶりの"カンヅメ"を帝国ホテルでしてきました。今回の目的は新しい新宿鮫のストーリーとプロット作り。
 できました。年末から連載にとりかかります。今度は内容がヘビーで結構ハードな話になりそうです。お楽しみに。

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■安寿のがまぐち 〜 宮部みゆきのコーナー

◆新潟中越地震
 たいへんな災害でした。被災地の皆様にお見舞い申し上げます――って、こんなの書いてるのが歯がゆくてしょうがないですね。ヘリコプターとか船とかで、毛布とか水とか食料とか、もっとどんどん運べないですかね。新潟はもう寒いんだもの。
 東京も、余波で揺れましたね。新潟で震度6の本震のとき、こちらでは震度4だったそうですが、宮部、仕事場からの帰りのバスに乗っていて、ぜんぜん気づかなかったんです(今日のバスはよく揺れるなぁ、乱暴な運転手さんだなぁとか思ってた)。
 バス停で降りて、道を渡ったら、近所の美容院の先生に「地震よ、地震!」と教えてもらって、見上げたら信号機が揺れていたので仰天! あわてて、近くに住む家族の家に駆け込みました。
 あらためて、防災グッズを点検しました。鉄筋コンクリートの建物の中に住んでると、ラジオはよく受信できないので、防災袋のなかに入れてなかったんですが、公園とか広い場所に逃げるなら、やっぱり必要ですよね。急いで買いました。
 だけど……ウチの場合、本が崩れてきたらダメダメだよなぁ……。
(10月24日、原稿執筆)

◆ゲーム女の生きる道
 交易をさぼってたので、なかなか上質の素材アレコレが店頭に並ばず、セット防具が足りなくて、まだ金稼ぎと島巡りを続けてます。オスカルをサポートに入れて、一閃、一閃、また一閃! 素材集めにも励んでます。
 ヘルガ(恥ずかしがりやの力持ち、大好き!)とカールに攻撃力の上がるセットをつけさせてあげたいし(この二人の協力攻撃は凄い♪)、ミレイちゃんにもマジックリングをあげたいし。見かけによらず、このコは使えますねえ! 健気で可愛いので、基本パーティに入れたときには、いつも主人公の隣に配置してあげてます。
 ○○○は仲間にしましたが、ボロボロ服のままほったらかし。レベル10なんだもん、あんた。
 強力な単体攻撃である「美青年攻撃」を出せるハーヴェイ+シグルド+ヘルムートの3人と、パワフルな全体攻撃「大剣攻撃」を出せるイザク+アクセル+セルマの3人がお気に入り。陸竜とか古代ガニとかは、彼らにお任せ。セルマも良いよねえ♪ スピードあるし。もうちょっと待っててね。ボンテージセットを揃えてあげるから。
 素早いミレイちゃんに補助&回復魔法を任せ、カールとヘルガでキラーゴーレム討伐。主人公はヒマだ。「一閃」と「金運」と「幸運」のためだけにくっついていってるようなもんです。どりゃ〜!
 今作では、全体に、女性キャラの方が育てがいがあるような気がするんですが、いかがでしょ。あ、テッドは例外として。ソウルイーターだからね。苦労の多い人生を送ってるよね、君も。

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■さまよう厨子王 〜 京極夏彦のコーナー

◆大戦争
 といっても、人間の戦争ではなく。妖怪の方で。
 まれに見る反戦映画、「妖怪大戦争」の撮影もいよいよ佳境。
 と、いうわけで、ボクにも出番が回ってまいりました。
 人間じゃない役。うーん。
 同日撮影されたのは、ボクと荒俣宏さん、荒俣さんの奥様、そして(なんと!)根岸季衣さん、水木大先生。あとは山童さんとか鴉天狗さんとか、天井嘗めさんとか、百目さんとかカエルのかたがたとか。
 映画「ババァゾーン」以来ババアづいている根岸さんは、砂掛けばばあ役。水木キャラとは一味違ったキュートなババアでした。
 武智豊子さん、由利徹さん、奥村公延さんに続く、実写では四代目の砂かけばばあですね。ボクがそういうと、「え? 前の方はどうやって砂かけました?」 と、いうご質問が。「砂、どっから出て来るんでしょうね? サイババみたいに出ますかね?」と、演技プランを練る根岸さん。さすがに研究熱心です。
 で、荒俣さんはと見れば、すでに取り返しのつかないところまで行ってしまった感じで(笑)。『怪・福神ながし』の時はフクスケを演じてもらいましたが、 今度はもっとスゴイことになってしまっていて。うーん、大変だこれは。
「これは当たります、絶対に当たります」と、ご本人は大喜び。ついでに奥様まで妖怪に。うひゃー。

 で、ボク。



ふきふき

顔を拭かれるワタシ。



不気味

眉がなくなるワタシ。



ぬりぬり

ちょっと見せられないワタシ。



 いや、あっというまに取り返しの付かないことに(笑)。
 衣裳も大変。なんじゃこりゃあ、という感じで、しかも重たい。「似合いますよ」と褒められても複雑な心境になりますね。というより、ボクだとわかるのか (笑)。
 早朝に家を出たのにメイクが終ると昼食。って、このまんま食べるのかい!

 予定をぐいぐい押して、大先生登場。荒俣夫妻とボクを見て、「あんた、こりゃ立派なヨーカイですよ!!」。
 お墨付きが……。



ナニガナンダカ

で、妖怪大集合。でもモザイク(笑)。

どんなシーンになるのかは、お楽しみ。



どれが誰だか

で、大先生を囲むヨーカイ三匹。

やっぱモザイク。



 大沢さんもトンデモない格好でカメオ出演される模様。ウハハハハハ。
 きっと文句をいっていることと思いますが、人間なだけいいです、たぶん(笑)。
 うーん、自分がなったからいうワケじゃないですが、妖怪大戦争なんだから妖怪になってなんぼです。さあ、みなさんもはりきってヨーカイになりましょう。
 と、いうわけでエキストラ募集中

◆コウセツ
「妖怪大戦争」は三池崇史監督。
「姑獲鳥の夏」は実相寺昭雄監督。
「嗤う伊右衛門」は蜷川幸雄監督。
「怪シリーズ」は酒井信之監督――。
 いや、それぞれタイプの違う才能といいますか、単にバラエティに富んでいるという言い方だけではすまされない、豪華な顔触れとお仕事をさせていただいて ます、わたし。
 で。
 ここで新企画が。
 宮部さんの「理由」(大林宣彦監督)を放映したWOWOWのドラマW枠で、『巷説百物語』の製作が決定しました。
 同じWOWOWですが、『怪』シリーズとは別の形の映像化になります。
 で。
 監督と主演は



怪しいスリーショット

はい。



「監督はこの中にいる!」
「主演、わかっちゃったんですけど」
「おまえらのやってることはみんなお見通しだ!」←誰が誰に言ってるんだ。
 はい。「ケイゾク」「トリック」などでお馴染、堤幸彦監督。
 で、主演は渡部篤郎さんです。
 お忙しい中、ワタシのところまでおいでくださいました、はい。
 堤ファンのみなさん、渡部ファンのみなさん、あの名コンビが、こんどは時代劇で復活です。
 巷説ファンのみなさん、漫画化、ドラマ化、アニメ化に続く、また新しい又市が誕生するようで、どうなりますか、乞うご期待。
 それにしても怪しいスリーショットだなあ……。

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■編集者Sのウラ情報

 先日、「妖怪大戦争」の撮影スタジオへ見学に行ってまいりました。撮影現場へは何度もいっているのですが、編集者の作業現場とは違う雰囲気や緊張感があって興味深いものがあります。
 編集者は机ひとつとペンがあれば仕事できますし、基本的には個人プレーです。それに対し映画の現場は、わずか数十秒のカットの撮影に大掛かりなセットを組み、ほんとうに大勢の人が動いています。その大勢の人が無駄なく動き、手際よく作業が進められカメラが回る。「プロの仕事」という感じがして気持ちいい眺めです。
 映像と活字、共同か個人か、大きな違いはありますが、最高のエンターテインメントを提供しようという「根」は同じです。みなさんに楽しんでいただけるものを提供し続けらるよう努力しようと改めて思った次第です。……なぜ行ったかはまだナイショ。(エキストラじゃないよ、S)

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■まるひの秘書ヒショバナシ

◆今週の厨子王原稿メール件名 (これまでの歴史は→コチラ
 1回休み
 ノリノリくんに送られてきたメールにはネタ件名書いてなかったそうです。ザンネーン!

 三人がオフィスにいます。決算報告 → メシ → 話し合い、ときて、今は朗読会の練習まっ最中です。本番まであと2週間。気合いを入れてもらわねばー。

 さて、トップページ「目玉情報」にもありますが、ノリノリくんに「ブックフェスティバルで売ってきておくんなまし!」と、朗読会のチケット・昼の部10枚を押しつけました。
 やっぱり一人でも多くの方に観ていただきたいよね、ってことで、PA席として確保してあったぶんを急きょ客席に変更したんです。「チケットありますぜ」って関係者に声をかけてもいいんですが、やっぱりまずは大極宮ラーの皆様に買っていただきたいですもん。
 というわけで、チケット買い損ねた方、ぜひ神保町にいらして下さい。新商品もめちゃくちゃ良いです。豆腐小僧ミニ土鍋らぶり〜♪

 今年3月から5月にかけて大極宮でおこなったアンケート「あなたのお好きな松本清張作品を教えてください」の成果がいよいよ来月に出ます。
 アンケートの回答が採用された方の中から、抽選で5名に宮部のサイン入り「松本清張傑作短篇コレクション 全3巻セット」が贈られます。当選者は次号の更新で発表します。お楽しみに〜♪

 最後にもういっちょ。11月1日(月)の夜あたりから、また大極宮ラーの皆様にご協力をあおぐ企画が始まります。チェックよろしく、ご協力よろしくお願いします〜♪ ぺこ。

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■ノリノリ編集後記

 いよいよ明日から『第14回神保町ブックフェスティバル』。
 でも、天気が悪そうですねえ。せっかくいろいろ準備したのに。車に荷物は積み込んでしまったし、イベントが中止になった場合でも、明日は神保町の交差点付近で待機していようと思います。競馬の予想でもしながら…。
(胃カメラ初体験にオェ〜ッ連発…ノリ)

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■アンケートから はスタッフのコメントです)

◆30日と31日の『第14回神保町ブックフェスティバル』なんですけど、30日は仕事なので行けないんですね。
30日に商品(限定物)を全て売ってしまうのでしょうか。
それとも2日間に分けて出品してくれるのでしょうか。
教えてください。

分けずに先着順で販売いたします。天気も崩れそうなので早めがよろしいかと…。(ノリ)

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下の方でコッソリ
◆厨子王原稿メール件名の歴史(本人確認用?)

更新太郎。 → こうしん太郎。 → 高信太郎。 → 香辛料。 → 甲府信玄公。(この133号あたりで件名を本格的なコーナーにされてしまうカワイソウな厨子王) → 子牛ん〜健康です。 → 庚申。元寇。 → 孔子に兼行。 → 乞う、青梗菜。 → 交趾(コーチン)。鬱金(ウコン)。「辛いなあ喰いもんネタ(笑)」というグチつき → 護身拳骨。 → 誤診現行犯。 → 小普請剣豪。 → 子負う繁子。 → こう、おしん激昂。 → 往診変更。 → 孝心言行。 → 恒心儼乎。 → 格子に拳固が。 → 誤診原告。 → (グレイと)交信。(UFOが)減光。説明付き。たまにはこうい(151号でこの件名の続きを皆さんから募集して大盛り上がり!) → 香辛料減量。 → 甲信越へ行こう。 → 荒神信仰。 → 降神、玄黄。 → コーリンえんぴつ。 → 降雨。震源。こ……うッ。 → 「コウ!」「シン? 元気?」「おう」 → 光線銃携行。 → 孝心儼乎。(孝心も儼乎も二度目の登場と、まるひにツッコマレル) →  前回のタイトルは急いでいたので一発変換だったわけです(笑)(言い訳キター!) → 工賃、下向。 → 浩二、けん、コウ(芸能人シリーズスタート?) → 工事・拳・豪 → 放心、テンコー → ちょうちんあんこう → 甲信越先行 → 古神に献香 → 降雨シーン、現場はこう…… → 懇親励行 → 殺しで連行 → 抗菌テント → GO! 真剣、GO!!(横文字初登場)