第11回
(2007/11/9)
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にゃんこ
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「にゃんこ」 |
『百器徒然袋—風』 京極夏彦
講談社ノベルス … P101
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30半ばの男性が「にゃんこ」って…。
でも天下無敵の榎木津礼二郎だから許せちゃう(笑)
ぴーち 28歳 女性 愛知県
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爺のコメント いいなぁ、榎木津は。こんなひと言でも若い女性が「カワイイッ!」とか思うんじゃろーなぁ。
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「妾はお前を選んだけれど、好いて選んだ訳じゃない
。決して好いた訳じゃない。妾はお前が好きじゃない。国が滅びようと天地が引繰り返ろうと、金輪際お前のことなんか好きにはならないからね—」 ずっとずっと何時までも。 妾はお前が。 大ッ嫌いだ。 |
『覘き小平次』 京極夏彦
C★ノベルス … P415
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気風が好いお塚さんの台詞の中でも、これが一番。
御亀 18歳 男性 兵庫県
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爺のコメント おースゲー!
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「僕はそこで聴いていて腸が煮えくり返ったぞ。沸騰だ沸騰! 沸騰して蒸発だ、これが釜だったら底が抜けている」 |
『百器徒然袋—雨』 京極夏彦
講談社ノベルス … P66
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なぜそういう発想になるのか、榎木津の発言思考回路は全くもって常軌を逸していると思わされるセリフです。
でも、確かに煮えくり返れば沸騰しているんだろうし、沸騰すれば蒸発するだろうし……。 こういう発想が出来る人を「天才」と言うのかもしれない(笑)
toshi 23歳 男性 北海道
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爺のコメント とかく大声を出すだけの人間が目立ってしまうものじゃが、榎木津には思わず耳を傾けてしまうものがあるんじゃな。人をひきつける含蓄のある一言をとっさにいえるのはやっぱり才能なんじゃろうな。 |
「ナマハゲサボテン先生、校長先生にならないでいてくれてどうもありがとう」 |
『サボテンの花』(我らが隣人の犯罪) 宮部みゆき
文春文庫 … P139
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ファーストフードの店内で、不覚にも涙がこぼれました。
保育士歴20年。時代は変わり、「子供のため」というよりも親に、社会にふりまわされ、何が大事なのかさっぱり解らない日々。学校は、もっと厳しい状況になっています。 そんななか、子供の立場に立ち、子供の思いを大事にし、大人や社会のしがらみから体をはって守る教頭先生。それをしっかり見て、感じていた子供達。どんな品物よりも心に響くことば(手紙ですが…)です。 今、こんなふうに子供達を育てていけるのだろうか。こんな風に、強く自分を通すことができるだろうか。 涙のあとに、自分の今までとこれからを深く考えさせられました。
まあさん 42歳 女性 東京都
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爺のコメント まあさんの感想は、子供たちと真剣に関わってきた証じゃのう。物語のなかから現実の世相を読み解いていく。それももうひとつの読書の楽しみかたかも。 |
「また始まった。ホントは、だ。ホントは違ってた。ホントはこうだった。やめなさいよ。あんたがそのとき考えたことが本当なんだよ。本当のあんたは、そのときそのときその場にちゃんといるんだよ」 |
『模倣犯』 宮部みゆき
単行本(下巻)/小学館 … P463
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これを読んだときに、まさに本当の自分というものを探していた時期でした。なのでこの言葉はすごく印象的に残っています。
シュウ 21歳 男性 東京都
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爺のコメント そしてシュウさんは、本当の自分を探すことはできたんじゃろか、本当の自分を探すということは、自分自身と向き合おうということじゃよな。きっとシュウさんは常に向上心を持っている若者なんじゃろうな、感心じゃ。 |
「誰も——教えてくれなかったんだな」 |
『陰摩羅鬼の瑕』 京極夏彦
講談社ノベルス … P739
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このセリフを読んだ瞬間、バラバラバラと涙が落ちました。伊庭さんのセリフがたったこの簡単な一言なのですがとても優しくて、いたたまれない気持ちになりました。
そうか、知らなかったんだよね。そんなこといちいち言わなくても分かるじゃん! みたいに思うことってたまにありますが、このセリフにハッとさせられました。いまだに心に残る、考えさせられる一言です。
kay 32歳 女性 東京都
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爺のコメント そんな当たり前なこと、言わなくてもということはままあるな。だけど言わなくては通じないものは確かにあるもんじゃ。後悔しないためにも伝えたい思いは言葉にするのも必要なことじゃ。 |
「信仰と云うのは—」 「信じることです。解ることではない。彼等は信じていたのです」 |
『狂骨の夢』 京極夏彦
講談社ノベルス … P775
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この言葉は宗教学、民俗学を志そうとしている私にとって、ものすごく大きな衝撃でした。そうか、宗教はただ信じればいいのかと、今更ながらにこの言葉に教えてもらった気がします。
そして、毎回毎回こんな内容を思いつく京極氏に更に脱帽(笑)尊敬します。
気賀-L 18歳 女性 長野県
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爺のコメント 「鰯の頭も信心から」、ということじゃろうか。
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「俺は徹底した無神論者だよ。だが、世の中が案外うまくできてるのは、何かが上手に計らっているからだと感じる事はある。だから、これだけは言える。重荷ってのは、それを背負える肩を選んで乗せられるもんだ。そして今おまえの肩には、稲村信司って子の将来がかかってる」 |
『龍は眠る』 宮部みゆき
新潮文庫 … P192
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この生駒のセリフは宮部さんの作品の根底にあるものを表していると思います。その重荷に潰されないように歩んでいく姿に感動を禁じえないのだと思います。
月追狼 20歳 男性 東京都
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爺のコメント この重荷って、人それぞれに背負っていくものじゃが、背負わされてそれが嫌で逃げる奴もいる。
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「学校やめて就職するなら、それもいいんじゃない? でも、もったいないなぁ、だって働くのは一生よ」 |
『レベル7』 宮部みゆき
新潮文庫 … P76
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確かに、とえらく納得しました。もう学校に通っていない私は学生生活という時間の貴重さをつくづく感じているので、なんとなくや勢いでやめちゃうのはもったいないなぁ、と思うのです。
レイファ 19歳 女性 兵庫県
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爺のコメント こういうことは、失ってから気づくものなんじゃよなぁ。働いている人たちは、多かれ少なかれ同じ思いを抱いているのかもしれん。まあ、そこに戻りたいかどうかは、人それぞれじゃが。
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今日からおまえは、宝のほうだ。 |
『孤宿の人』 宮部みゆき
単行本(下巻)/新人物往来社 … P421
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なんど読み返しても、ここの所で涙が出てしまいます。
この作品が終わった後のほうが、もうつらいことなんかなにもない、幸せな人生を送っていることを、祈らずにはいられません。
あお 34歳 女性 兵庫県
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爺のコメント 「ほう」の字が、この物語の中で三変化。日本語は素晴らしいとつくづく思う。
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